昼過ぎから小雨になった。暖だん炉ろのそばに座り、パラパラと窓を打つ雨の音を聞きながら、ハグリッドが靴くつ下したを繕つくろうかたわら、ハーマイオニーとしもべ妖よう精せい論ろん議ぎをするのを傍はたで見物するのは、のんびりした気分だった――ハーマイオニーがS・P・E・Wバッジを見せたとき、ハグリッドはきっぱり入会を断ことわったのだ。
「そいつは、ハーマイオニー、かえってあいつらのためにならねえ」
ハグリッドは、骨ほね製せいの巨大な縫ぬい針に、太い黄色の糸を通しながら、重々しく言った。
「ヒトの世話をするのは、連中の本能だ。それが好きなんだ。ええか? 仕事を取り上げっちまったら、連中を不幸にするばっかしだし、給料を払うなんちゅうのは、侮ぶ辱じょくもええとこだ」
「だけど、ハリーはドビーを自由にしたし、ドビーは有う頂ちょう天てんだったじゃない!」ハーマイオニーが言い返した。「それに、ドビーは、いまではお給料を要求してるって、聞いたわ!」
「そりゃな、オチョウシモンはどこにでもいる。俺おれはなンも、自由を受け入れる変わりモンのしもべ妖よう精せいがいねえとは言っちょらん。だが、連中の大多数は、決してそんな説得は聞かねえぞ――ウンニャ、骨折り損だ。ハーマイオニー」
ハーマイオニーはひどく機き嫌げんを損そこねた様子で、バッジの箱をマントのポケットに戻した。
五時半になると、暗くなりはじめた。ロン、ハリー、ハーマイオニーは、ハロウィーンの晩ばん餐さん会かいに出るのに城に戻る時間だと思った――それに、もっと大切な、各校の代表選手の発表があるはずだ。
「俺おれも一いっ緒しょに行こう」ハグリッドが繕つくろい物を片づけながら言った。「ちょっくら待ってくれ」