「さあ……あの扉とびらから。ハリー」ダンブルドアは微ほほ笑えんでいなかった。
ハリーは教職員テーブルに沿って歩いた。ハグリッドがいちばん端に座っていた。ハリーにウィンクもせず、手も振らず、いつもの挨あい拶さつの合図を何も送ってはこない。ハリーがそばを通っても、ほかのみんなと同じように、驚ききった顔でハリーを見つめるだけだった。ハリーは大広間から出る扉を開け、魔女や魔法使いの肖しょう像ぞう画ががずらりと並ぶ小さな部屋に入った。ハリーの向かい側で、暖だん炉ろの火が轟ごう々ごうと燃え盛さかっていた。
部屋に入っていくと、肖像画の目がいっせいにハリーを見た。皺しわ々しわの魔女が自分の額がくを飛び出し、セイウチのような口くち髭ひげの魔法使いが描かれた隣となりの額に入るのを、ハリーは見た。皺々魔女は、隣の魔法使いに耳打ちを始めた。
ビクトール・クラム、セドリック・ディゴリー、フラー・デラクールは、暖炉の周りに集まっていた。炎を背にした三人のシルエットは、不思議に感動的だった。クラムは、ほかの二人から少し離れ、背中を丸め、暖だん炉ろに寄り掛かかって何か考えていた。セドリックは背中で手を組み、じっと炎を見つめている。フラー・デラクールは、ハリーが入っていくと、振り向いて、長いシルバーブロンドの髪かみを、サッと後ろに振った。
「どうしまーしたか?」フラーが聞いた。「わたーしたちに、広ひろ間まにもどりなさーいということでーすか?」
ハリーが伝言を伝えにきたと思ったらしい。何事が起こったのか、どう説明してよいのか、ハリーにはわからなかった。ハリーは三人の代表選手を見つめて、突っ立ったままだった。三人ともずいぶん背が高いことに、ハリーは初めて気づいた。