ハリーの背はい後ごで、せかせかした足音がし、ルード・バグマンが部屋に入ってきた。バグマンはハリーの腕をつかむと、みんなの前に引き出した。
「すごい!」バグマンがハリーの腕をギュッと押さえて呟つぶやいた。「いや、まったくすごい! 紳しん士し諸しょ君くん……淑女しゅくじょもお一人」
バグマンは暖炉に近づき、三人に呼びかけた。
「ご紹介しょうかいしよう――信じがたいことかもしれんが――三さん校こう対たい抗こう代表選手だ。四人目の」
ビクトール・クラムがピンと身を起こした。むっつりした顔が、ハリーを眺ながめ回しながら暗い表情になった。セドリックは途と方ほうにくれた顔だ。バグマンを見て、ハリーに目を移し、またバグマンを見た。バグマンの言ったことを、自分が聞き違えたに違いないと思っているかのようだった。しかし、フラー・デラクールは、髪をパッと後ろになびかせ、ニッコリと言った。
「おう、とてーも、おもしろーいジョークです。ミースター・バーグマン」
「ジョーク?」バグマンが驚いて繰り返した。「いやいや、とんでもない! ハリーの名前が、たったいま『炎ほのおのゴブレット』から出てきたのだ!」
クラムの太い眉まゆが、微かすかに歪ゆがんだ。セドリックは礼れい儀ぎ正しく、しかしまだ当とう惑わくしている。
フラーが顔をしかめた。
「でも、なにかーの間違いにちがいありませーん」軽けい蔑べつしたようにバグマンに言った。「このいひとは、競きょう技ぎできませーん。このいひと、若すぎまーす」
「さよう……驚くべきことだ」
バグマンは鬚ひげのない顎あごを撫なでながら、ハリーを見下ろしてニッコリした。
「しかし、知ってのとおり、年ねん齢れい制せい限げんは、今年にかぎり、特別安全措そ置ちとして設もうけられたものだ。そして、ゴブレットからハリーの名前が出た……つまり、この段階で逃げ隠れはできないだろう……これは規則であり、従う義務がある……ハリーは、とにかくベストを尽くすほかあるまいと――」
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