背後の扉とびらが再び開き、大勢の人が入ってきた。ダンブルドア校長を先頭に、すぐ後ろからクラウチ氏、カルカロフ校長、マダム・マクシーム、マクゴナガル先生、スネイプ先生だ。マクゴナガル先生が扉を閉める前に、壁かべの向こう側で、何百人という生徒がワーワー騒ぐ音が聞こえた。
「マダム・マクシーム!」フラーがマクシーム校長を見つけ、つかつかと歩み寄った。「この小さーい男の子も競きょう技ぎに出ると、みんな言っていまーす!」
信じられない思いで、痺しびれた感覚のどこかで、怒りがビリビリッと走るのを、ハリーは感じた。小さい男の子?
マダム・マクシームは、背筋を伸ばし、全身の大きさを十二分に見せつけた。きりっとした頭のてっぺんが、蝋ろう燭そくの立ち並んだシャンデリアをこすり、黒くろ繻じゅ子すのドレスの下で、巨大な胸が膨ふくれ上がった。
「ダンブリー・ドール、これは、どういうこーとですか?」威い圧あつ的てきな声だった。
「わたしもぜひ、知りたいものですな、ダンブルドア」カルカロフ校長も言った。冷れい徹てつな笑いを浮かべ、ブルーの目が氷のかけらのようだった。「ホグワーツの代表選手が二人とは? 開かい催さい校こうは二人の代表選手を出してもよいとは、誰からも伺うかがってはいないようですが――それとも、わたしの規則の読み方が浅かったのですかな?」
カルカロフ校長は、短く、意地悪な笑い声を上げた。
「セあ・りタえァなンいポこシとーでブすルわ」マダム・マクシームは豪ごう華かなオパールに飾られた巨大な手を、フラーの肩に載のせて言った。「オホグワーツがふたりも代表選手を出すことはできませーん。そんなことは、とーても正しくなーいです」
「我々としては、あなたの『年ねん齢れい線せん』が、年少の立りっ候こう補ほ者しゃを締め出すだろうと思っていたわけですがね。ダンブルドア」カルカロフの冷たい笑いはそのままだったが、目はますます冷ややかさを増していた。「そうでなければ、当然ながら、わが校からも、もっと多くの候補者を連れてきてもよかった」
「誰の咎とがでもない。ポッターのせいだ。カルカロフ」スネイプが低い声で言った。暗い目が底意地悪く光っている。