ロンとハーマイオニーは別として、ほかに誰かハリーの言うことを信じてくれるだろうか? それとも、みんな、ハリーが自分で試合に立りっ候こう補ほしたと思うだろうか? しかし、どうしてみんな、そんなふうに考えられるんだろう? ほかの選手はみんなハリーより三年も多く魔法教育を受けているというのに――取り組む課題は、非常に危険そうだし、しかも何百人という目が見ている中でやり遂とげなければならないというのに? そう、ハリーは競きょう技ぎすることを頭では考えた……いろいろ想像して夢を見た……しかし、そんな夢は、冗談じょうだんだし、叶かなわぬむだな夢だった……ほんとうに、真剣に立候補しようなど、ハリーは一度も考えなかった……。
それなのに、誰かがそれを考えた……誰かほかの者が、ハリーを試合に出したかった。そしてハリーが間違いなく競技に参加するように計はからった。なぜなんだ? 褒ほう美びでもくれるつもりだったのか? そうじゃない。ハリーにはなぜかそれがわかる……。
ハリーのぶざまな姿を見るために? そう、それなら、望みは叶かなう可能性がある。
しかし、ハリーを殺すためだって? ムーディのいつもの被ひ害がい妄もう想そうにすぎないのだろうか? ほんの冗談じょうだんで、誰かがゴブレットにハリーの名前を入れたということはないのだろうか? ハリーが死ぬことを、誰かが本気で願ったのだろうか?
答えはすぐに出た。そう、誰かがハリーの死を願った。ハリーが一歳のときからずっとそれを願っている誰かが……ヴォルデモート卿きょうだ。しかし、どうやってまんまとハリーの名前を「炎のゴブレット」に忍び込ませるように仕組んだのだろう? ヴォルデモートはどこか遠いところに、遠い国に、一人で潜ひそんでいるはずなのに……弱り果て、力尽きて……。
しかし、あの夢、傷きず痕あとが疼うずいて目が覚める直前の、あの夢の中では、ヴォルデモートは一人ではなかった……ワームテールに話していた……ハリーを殺す計画を……。