
日曜の朝、目が覚めたハリーは、なぜこんなに惨みじめで不安な気持なのか、思い出すまでにしばらく時間がかかった。やがて、昨夜の記憶が一気に蘇よみがえってきた。ハリーは起き上がり、四本柱のベッドのカーテンを破るように開けた。ロンに話をし、どうしても信じさせたかった――しかし、ロンのベッドはも抜けの殻からだった。もう朝食に下りていったに違いない。
ハリーは着き替がえて螺ら旋せん階かい段だんを談だん話わ室しつへと下りていった。ハリーの姿を見つけるなり、もう朝食を終えてそこにいた寮りょう生せいたちが、またもやいっせいに拍手した。大おお広ひろ間まに下りていけば、ほかのグリフィンドール生と顔を合わせることになる。みんながハリーを英雄扱いするだろうと思うと、気が進まなかった。しかし、それをとるか、それともここで必死にハリーを招き寄せようとしているクリービー兄弟に捕まるか、どっちかだ。ハリーは意を決して肖しょう像ぞう画がの穴のほうに向かい、出口を押し開け、外に出た。そのとたん、ばったりハーマイオニーに出会った。
「おはよう」ハーマイオニーは、ナプキンに包んだトースト数枚を持ち上げて見せた。「これ、持ってきてあげたわ……ちょっと散歩しない?」
「いいね」ハリーはとてもありがたかった。
階段を下り、大広間には目もくれずに、すばやく玄げん関かんホールを通り、まもなく二人は湖に向かって急ぎ足で芝しば生ふを横切っていた。湖にはダームストラングの船がつながれ、水面みなもに黒い影を落としていた。肌はだ寒ざむい朝だった。二人はトーストを頬ほお張ばりながら歩き続け、ハリーは、昨夜グリフィンドールのテーブルを離れてから何が起こったか、ありのままハーマイオニーに話した。ハーマイオニーが何の疑問も差し挟はさまずに話を受け入れてくれたのには、ハリーは心からほっとした。
第18章 检测魔杖
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