「ええ、あなたが自分で入れたんじゃないって、もちろん、わかっていたわ」
大広間の裏の部屋での様子を話し終えたとき、ハーマイオニーが言った。
「ダンブルドアが名前を読み上げたときのあなたの顔ったら! でも、問題は、いったい誰が名前を入れたかだわ! だって、ムーディが正しいのよ、ハリー……生徒なんかにできやしない……ゴブレットを騙だますことも、ダンブルドアを出し抜くことも――」
「ロンを見かけた?」ハリーが話の腰を折った。
ハーマイオニーは口ごもった。
「え……ええ……朝食に来てたわ」
「僕が自分の名前を入れたと、まだそう思ってる?」
「そうね……ううん。そうじゃないと思う……そういうことじゃなくって」ハーマイオニーは歯切れが悪い。
「『そういうことじゃない』って、それ、どういう意味?」
「ねえ、ハリー、わからない?」ハーマイオニーは、捨すて鉢ばちな言い方をした。「嫉しっ妬としてるのよ!」
「嫉妬してる?」ハリーはまさか、と思った。「何に嫉妬するんだ? 全校生の前で笑いものになることをかい?」
「あのね」ハーマイオニーが辛しん抱ぼう強く言った。「注目を浴びるのは、いつだって、あなただわ。わかってるわよね。そりゃ、あなたの責任じゃないわ」
ハリーが怒って口を開きかけたのを見て、ハーマイオニーは急いで言葉をつけ加えた。
「何もあなたが頼んだわけじゃない……でも――ウーン――あのね、ロンは、家でもお兄さんたちと比較されてばっかりだし、あなたはロンのいちばんの親友なんだけど、とっても有名だし――みんながあなたを見るとき、ロンはいつでも添そえ物もの扱いだわ。でも、それに堪たえてきた。一度もそんなことを口にしないで。でも、たぶん、こんどというこんどは、限界だったんでしょうね……」