「そりゃ、傑けっ作さくだ」ハリーは苦にが々にがしげに言った。「ほんとに大傑作だ。ロンに僕からの伝言だって、伝えてくれ。いつでもお好きなときに入れ替わってやるって。僕がいつでもどうぞって言ってたって、伝えてくれ……どこに行っても、みんなが僕の額ひたいをじろじろ見るんだ……」
「私は何にも言わないわ」ハーマイオニーがきっぱり言った。「自分でロンに言いなさい。それしか解決の道はないわ」
「僕、ロンのあとを追いかけ回して、あいつが大人おとなになる手助けをするなんて真まっ平ぴらだ!」
ハリーがあまりに大きな声を出したので、近くの木に止まっていたふくろうが数羽、驚いて飛び立った。「僕が首根っこでもへし折られれば、楽しんでたわけじゃないってことを、ロンも信じるだろう――」
「ばかなこと言わないで」ハーマイオニーが静かに言った。「そんなこと、冗談じょうだんにも言うもんじゃないわ」とても心配そうな顔だった。
「ハリー、私、ずっと考えてたんだけど――私たちが何をしなきゃならないか、わかってるわね? すぐによ。城に戻ったらすぐに、ね?」
「ああ、ロンを思いっきり蹴けっ飛ばして――」
「シリウスに手紙を書くの。何が起こったのか、シリウスに話さなくちゃ。ホグワーツで起こっていることは全部知らせるようにって、シリウスが言ってたわね……まるで、こんなことが起こるのを予想していたみたい。私、羊よう皮ひ紙しと羽根ペン、ここに持ってきてるの――」
「やめてくれ」ハリーは誰かに聞かれていないかと、周りに目を走らせたが、校庭にはまったく人影がなかった。「シリウスは、僕の傷きず痕あとが少しチクチクしたというだけで、こっちに戻ってきたんだ。誰かが『三さん校こう対たい抗こう試合』に僕の名前を入れただなんて言ったら、それこそ城に乗り込んできちゃう――」
「あなたが知らせることを、シリウスは望んでいます」ハーマイオニーが厳きびしい口調で言った。「どうせシリウスにはわかることよ――」
「どうやって?」
「ハリー、これは秘ひ密みつにしておけるようなことじゃないわ」ハーマイオニーは真剣そのものだった。「この試合は有名だし、あなたも有名。『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』に、あなたが試合に出場することがまったく載のらなかったら、かえっておかしいじゃない……あなたのことは、『例のあの人』について書かれた本の半分に、すでに載ってるのよ……どうせ耳に入るものなら、シリウスはあなたの口から聞きたいはずだわ。絶対そうに決まってる」