思ったとおり、マルフォイはいつものせせら笑いをしっかり顔に刻きざんで、ハグリッドの小屋に現れた。
「おい、ほら、見ろよ。代表選手だ」ハリーに声が聞こえるところまで来るとすぐに、マルフォイがクラッブとゴイルに話しかけた。「サイン帳の用意はいいか? いまのうちにもらっておけよ。もうあまり長くはないんだから……対たい抗こう戦せんの選手は半数が死んでいる……君はどのくらい持ちこたえるつもりだい? ポッター? 僕は、最初の課題が始まって十分だと賭かけるね」
クラッブとゴイルがおべっか使いのバカ笑いをした。しかし、マルフォイはそれ以上は続けられなかった。山のように積み上げた木箱を抱え、ぐらぐらするのをバランスを取りながら、ハグリッドが小屋の後ろから現れたからだ。木箱の一つひとつに、でっかい「尻しっ尾ぽ爆ばく発はつスクリュート」が入っている。それからのハグリッドの説明は、クラス中をぞっとさせた。スクリュートが互いに殺し合うのは、エネルギーを発散しきれていないからで、解決するには生徒が一人ひとりスクリュートに引き綱をつけて、ちょっと散歩させてやるのがいいと言うのだ。ハグリッドの提案のお陰で、完全にマルフォイの気が逸それてしまったのが、唯ゆい一いつの慰なぐさめだった。
「こいつに散歩?」マルフォイは箱の一つを覗のぞき込み、うんざりしたようにハグリッドの言葉を繰り返した。「それに、いったいどこに引き綱を結べばいいんだ? 毒針にかい? それとも爆発尻尾とか吸盤きゅうばんにかい?」
「真ん中あたりだ」ハグリッドが手本を見せた。「あー――ドラゴン革がわの手袋をしたほうがええな。なに、まあ、用心のためだ。ハリー――こっち来て、このおっきいやつを手伝ってくれ……」
しかしハグリッドは、ほんとうは、みんなから離れたところでハリーと話をしたかったのだ。
ハグリッドはみんながスクリュートを連れて散歩に出るのを待って、ハリーのほうに向き直り、真剣な顔つきで言った。
「そんじゃ――ハリー、試合に出るんだな。対抗試合に。代表選手で」
「選手の一人だよ」ハリーが訂てい正せいした。