ボサボサ眉まゆの下で、コガネムシのようなハグリッドの目が、ひどく心配そうだった。
「ハリー、誰がおまえの名前を入れたのか、わかんねぇのか?」
「それじゃ、僕が入れたんじゃないって、信じてるんだね?」
ハグリッドへの感かん謝しゃの気持が込み上げてくるのを、顔に出さないようにするのは難しかった。
「もちろんだ」ハグリッドが唸うなるように言った。「おまえさんが自分じゃねえって言うんだ。俺おれはおまえを信じる――ダンブルドアもきっとおまえを信じちょる」
「いったい誰なのか、僕が知りたいよ」ハリーは苦にが々にがしそうに言った。
二人は芝しば生ふを見渡した。生徒たちがあっちこっちに散らばり、みんなさんざん苦労していた。スクリュートは、いまや体長一メートルを超こえ、猛もう烈れつに強くなっていた。もはや殻からなし、色なしのスクリュートではなく、分ぶ厚あつい、灰色に輝かがやく鎧よろいのようなものに覆おおわれている。巨大なサソリと、引き伸ばしたカニを掛かけ合わせたようなシロモノだ――しかも、どこが頭やら、目なのやら、いまだにわからない。とてつもなく強くなり、とても制せい御ぎょできない。
「見ろや。みんな楽しそうだ。な?」ハグリッドはうれしそうに言った。みんなとは、きっとスクリュートのことだろうとハリーは思った。クラスメイトのことじゃないのは確かだ。
スクリュートのどっちが頭か尻しっ尾ぽかわからない先せん端たんが、ときどきバンと、びっくりするような音を立てて爆発した。そうするとスクリュートは数メートル前方に飛んだ。腹はら這ばいになって引きずられていく生徒、何とか立ち上がろうともがく生徒は一人や二人ではなかった。
「なあ、ハリー、いってえどういうことなのかなぁ」
ハグリッドは急にため息をつき、心配そうな顔でハリーを見下ろした。
「代表選手か……おまえは、いろんな目に遭あうなぁ、え?」
ハリーは何も言わなかった。そう。僕にはいろいろなことが起こるみたいだ……ハーマイオニーが僕と湖の周りを散歩しながら言ってたのも、だいたいそういうことだった。ハーマイオニーに言わせると、それが原因で、ロンが僕に口をきかないんだ。