それからの数日は、ハリーにとってホグワーツ入学以来最低の日々だった。二年生のとき、学校の生徒の大半が、ハリーがほかの生徒を襲おそっていると疑っていた数ヵ月間、ハリーはこれに近い気持を味わった。しかし、そのときは、ロンが味方だった。ロンが戻ってくれさえしたら、学校中がどんな仕打ちをしようとも堪たえられる、とハリーは思った。しかし、ロンが自分からそうしようと思わないかぎり、ハリーのほうからロンに口をきいてくれと説得するつもりはなかった。そうは言っても、四し方ほう八はっ方ぽうから冷たい視し線せんを浴びせかけられるのは、やはり孤こ独どくなものだった。
ハッフルパフの態度は、ハリーにとって嫌いやなものではあったが、それなりに理解できた。自分たちの寮りょう代表を応おう援えんするのは当然だ。スリザリンからは、どうしたって、性た質ちの悪い侮ぶ辱じょくを受けるだろうと、ハリーは予想していた――いまにかぎらず、これまでずっと、ハリーはスリザリンの嫌われ者だった。クィディッチでも寮りょう対たい抗こう杯はいでも、ハリーの活躍で、何度も、グリフィンドールがスリザリンを打ち負かしたからだ。しかし、レイブンクロー生なら、セドリックもハリーも同じように応援するくらいの寛かん容ようさはあるだろうと期待していた。見込み違いだった。レイブンクロー生のほとんどは、ハリーがさらに有名になろうと躍やっ起きになって、ゴブレットを騙だまして自分の名前を入れた、と思っているようだった。
その上、セドリックはハリーよりもずっと、代表選手にぴったりのはまり役だというのも事実だった。鼻筋がすっと通り、黒い髪かみにグレーの瞳ひとみというずば抜けたハンサムで、このごろでは、セドリックとクラムのどちらが憧あこがれの的か、いい勝負だった。実際、クラムのサインをもらおうと大騒ぎしていた、あの六年生の女子学生たちが、ある日の昼食時、自分のカバンにサインをしてくれとセドリックにねだっているのを、ハリーは目もく撃げきしている。