しかし、放ってはおけなかった。スネイプの居い残のこり罰ばつのことをハリーに伝言して以来、ロンは一言もハリーと口をきいていない。スネイプの地ち下か牢ろう教室で、二時間も一いっ緒しょにねずみの脳みそのホルマリン漬づけを作らされる間に、仲直りができるのではと、ハリーは少し期待していた。しかし、ちょうどその日に、リータの記事が出た。ハリーはやっぱり目立つのを楽しんでいるのだと、ロンは確信を強めたようだった。
ハーマイオニーは、二人のことで腹を立てていた。二人の間を往いったり来たりして、何とか互いに話をさせようと努めたが、ハリー自身が「炎ほのおのゴブレット」に名前を入れたわけではないとロンが認めたなら、そして、ハリーを嘘うそつき呼ばわりしたことを謝あやまるなら、またロンと話をしてもいいと、ハリーも頑がん固こだった。
「僕から始めたわけじゃない」ハリーは頑かたくなに言い張った。「あいつの問題だ」
「ロンがいなくてさびしいくせに!」ハーマイオニーがイライラと言った。「それに、私にはわかってる。ロンもさびしいのよ――」
「ロンがいなくてさびしいくせに?」ハリーが繰り返した。「ロンがいなくてさびしいなんてことは、ない……」
真っ赤な嘘うそだった。ハーマイオニーは大好きだったが、ロンとは違う。ハーマイオニーと親しくても、ロンと一いっ緒しょのときほど笑うことはないし、図書室をうろうろする時間も多くなる。ハリーはまだ「呼よび寄よせ呪じゅ文もん」を習得していなかった。ハリーの中で、何かがストップをかけているようだった。ハーマイオニーは、理り論ろんを学べば役に立つと主張した。そこで、二人は昼休みを、本に没ぼっ頭とうして過ごすことが多かった。
ビクトール・クラムも、しょっちゅう図書室に入いり浸びたっていた。いったい何をしているのか、ハリーは訝いぶかった。勉強しているのだろうか? それとも、第一の課題をこなすのに役立ちそうなものを探しているのだろうか? ハーマイオニーはクラムが図書室にいることで、しばしば文句を言った――何もクラムが二人の邪じゃ魔まをしたわけではない。しかし、女子生徒のグループがしょっちゅうやってきて、忍び笑いをしながら、本ほん棚だなの陰からクラムの様子を窺うかがっていた。ハーマイオニーはその物音で気が散るというのだ。