ほかの代表選手はどんな気持なんだろう。最近セドリックを見かけると、いつもファンに取り囲まれ、神経を尖とがらせながらも興こう奮ふんしているようだったし、フラー・デラクールも廊ろう下かでときどきちらりと姿を見たが、いつもと変わらず、フラーらしく高こう慢まんで平然としていた。そして、クラムは、ひたすら図書室に座って本に没ぼっ頭とうしていた。
ハリーはシリウスのことを思った。すると、胸を締めつけていた固い結び目が、少し緩ゆるむような気がした。あと十二時間と少しで、シリウスと話せる。談だん話わ室しつの暖だん炉ろのそばで二人が話をするのは、今夜だった――何にも手違いが起こらなければだが。最近は何もかも手違いだらけだったけど……。
「見て、ハグリッドよ!」ハーマイオニーが言った。
ハグリッドの巨大なモジャモジャ頭の後頭部が――ありがたいことに、束たばね髪がみにするのを諦あきらめていた――人混みの上にぬっと現れた。こんなに大きなハグリッドを、自分はどうしてすぐに見つけられなかったのだろうと、ハリーは不思議に思った。しかし、立ち上がってよく見ると、ハグリッドが体を屈かがめて、ムーディ先生と話をしているのがわかった。ハグリッドはいつものように、巨大なジョッキを前に置いていたが、ムーディは自分の携けい帯たい用よう酒さか瓶びんから飲んでいた。粋いきな女主人のマダム・ロスメルタは、それが気に入らないようだった。ハグリッドたちの周囲のテーブルから、空あいたグラスを片づけながら、ムーディを胡う散さん臭くさそうに見ていた。たぶん、自家製の蜂はち蜜みつ酒しゅが侮ぶ辱じょくされたと思ったのだろう。しかし、ハリーはわけを知っていた。「闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ」の最近の授業で、闇の魔法使いは、誰も見ていないときにやすやすとコップに毒を盛もるので、いつも食べ物、飲み物を自分で用意するようにしていると、ムーディが生徒に話したのだ。