「近くで見たいかね?」ハグリッドは興こう奮ふんして、マダム・マクシームに尋たずねた。二人は柵さくのすぐそばまで移動し、ハリーもついていった。ハグリッドに、それ以上近寄るなと警けい告こくした魔法使いがやってきた。そしてハリーは、初めてそれが誰なのか気づいた――チャーリー・ウィーズリーだった。
「大丈夫かい? ハグリッド?」チャーリーがハアハア息を弾はずませている。「ドラゴンはもう安全だと思う――こっちに来る途と中ちゅう『眠ねむり薬ぐすり』でおとなしくさせたんだ。暗くて静かなところで目覚めたほうがいいだろうと思って――ところが、見てのとおり、連中は機き嫌げんが悪いのなんのって――」
「チャーリー、どの種類を連れてきた?」ハグリッドは、いちばん近いドラゴン――黒ドラゴン――をほとんど崇あがめるような目つきでじっと見ていた。黒ドラゴンはまだ薄うす目めを開けていた。皺しわの刻まれた黒い瞼まぶたの下でギラリと光る黄色い筋を、ハリーは見た。
「こいつはハンガリー・ホーンテールだ」チャーリーが言った。「向こうのはウェールズ・グリーン普ふ通つう種しゅ、少し小型だ――スウェーデン・ショート‐スナウト種しゅ、あの青みがかったグレーのやつ――それと、中国火ひの玉たま種しゅ、あの赤いやつ」
チャーリーはあたりを見回した。マダム・マクシームが、「失神」させられたドラゴンをじっと見ながら、囲い地の周りをゆっくり歩いていた。
「あの人を連れてくるなんて、知らなかったぜ。ハグリッド」チャーリーが顔をしかめた。「代表選手は課題を知らないことになってる――あの人はきっと自分の生徒にしゃべるだろう?」
「あの人が見たいだろうって思っただけだ」ハグリッドはうっとりとドラゴンを見つめたままで、肩をすくめた。
「ハグリッド、まったくロマンチックなデートだよ」チャーリーがやれやれと頭を振った。