「四頭……」ハグリッドが言った。「そんじゃ、一人の代表選手に一頭っちゅうわけか? 何をするんだ――戦うのか?」
「うまく出し抜くだけだ。たぶん」チャーリーが言った。「ひどいことになりかけたら、俺おれたちが控ひかえていて、いつでも『消しょう火か呪じゅ文もん』をかけられるようになっている。営えい巣そう中ちゅうの母親ドラゴンがほしいという注文だった。なぜかは知らない……でも、これだけは言えるな。ホーンテールに当たった選手はお気の毒様さ。狂暴きょうぼうなんだ。尻しっ尾ぽのほうも正面と同じぐらい危険だよ。ほら」
チャーリーはホーンテールの尾を指差した。ハリーが見ると、長いブロンズ色の棘とげが、尻尾全体に数センチおきに突き出していた。
そのとき、チャーリーの仲間のドラゴン使いが、灰色の花か崗こう岩がんのような巨大な卵をいくつか毛布に包くるみ、五人がかりで、よろけながらホーンテールに近づいてきた。五人はホーンテールのそばに、注意深く卵を置いた。ハグリッドは、ほしくてたまらなそうな呻うめき声をもらした。
「俺、ちゃんと数えたからね、ハグリッド」チャーリーが厳きびしく言った。それから、「ハリーは元気?」と聞いた。
「元気だ」ハグリッドはまだ卵に見入っていた。
「こいつらに立ち向かったあとでも、まだ元気だといいんだが」ドラゴンの囲い地を見やりながらチャーリーが暗い声を出した。「ハリーが第一の課題で何をしなければならないか、俺、ママにはとっても言えない。ハリーのことが心配で、いまだって大変なんだ……」
チャーリーは母親の心配そうな声をまねした。
「『どうしてあの子を試合に出したりするの! まだ若すぎるのに! 子供たちは全員安全だと思っていたのに。年ねん齢れい制せい限げんがあると思っていたのに!』ってさ。『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』にハリーのことが載のってからは、もう涙、涙だ。『あの子はいまでも両親を思って泣くんだわ! ああ、かわいそうに。知らなかった!』」
ハリーはこれでもう十分だと思った。ハグリッドは僕がいなくなっても気づかないだろう。マダム・マクシームと四頭のドラゴンの魅み力りょくで手一杯だ。ハリーはそっとみんなに背を向け、城に向かって歩きはじめた。