これから起こることを見てしまったのが、喜ぶべきことなのかどうか、ハリーにはわからなかった。たぶん、このほうがよかったのだ。最初のショックは過ぎた。火曜日に初めてドラゴンを見たなら、全校生の前でバッタリ気絶してしまったかもしれない……どっちにしても気絶するかもしれないが……敵は十五、六メートルもある、鱗うろこと棘とげに覆おおわれた、火を吐はくドラゴンだ。ハリーの武器といえば、杖つえだ――そんな杖など、いまや細い棒切れほどにしか感じられない――しかも、ドラゴンを出し抜かなければならない。みんなの見ている前で。いったいどうやって?
ハリーは禁じられた森の端はたに沿って急いだ。あと十五分足らずで暖だん炉ろのそばに戻って、シリウスと話をするのだ。シリウスと話したい。こんなに強く誰かと話をしたいと思ったことは、一度もない――そのとき、出し抜けにハリーは何か固いものにぶつかった。仰あお向むけに引っくり返り、メガネがはずれたが、ハリーはしっかりと「透とう明めいマント」にしがみついていた。近くで声がした。
「アイタッ! 誰だ?」
ハリーはマントが自分を覆おおっているかどうかを急いで確かめ、じっと動かずに横たわって、ぶつかった相手の魔法使いの黒いシルエットを見上げた。ヤギ鬚ひげが見えた……カルカロフだ。
「誰だ?」カルカロフが、訝いぶかしげに暗くら闇やみを見回しながら繰り返した。ハリーは身動きせず、黙だまっていた。一分ほどして、カルカロフは、何か獣けものにでもぶつかったのだろうと納得したらしい。犬でも探すように、腰の高さを見回した。それから、カルカロフは再び木立に隠れるようにして、ドラゴンのいたあたりに向かってそろそろと進みはじめた。
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