「うん。でも……カルカロフが僕の名前をゴブレットに入れたっていうわけ? だって、もしカルカロフの仕業なら、あの人、ずいぶん役者だよ。カンカンに怒っていたように見えた。僕が参加するのを阻そ止ししようとした」ハリーは考えながらゆっくり話した。
「やつは役者だ。それはわかっている」シリウスが言った。「なにしろ、魔法省に自分を信用させて、釈放させたやつだ。さてと、『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』にはずっと注目してきたよ、ハリー――」
「シリウスおじさんもそうだし、世界中がそうだね」ハリーは苦い思いがした。
「――そして、スキーター女じょ史しの先月の記事の行間を読むと、ムーディがホグワーツに出発する前の晩に襲おそわれた。いや、あの女が、また空騒ぎだったと書いていることは承しょう知ちしている」
ハリーが何か言いたそうにしたのを見て、シリウスが急いで説明した。
「しかし、わたしは違うと思う。誰かが、ムーディがホグワーツに来るのを邪じゃ魔ましようとしたのだ。ムーディが近くにいると、仕事がやりにくくなるということを知っているヤツがいる。ムーディの件は誰も本気になって追及しないだろう。マッド‐アイは、侵しん入にゅう者しゃの物音を聞いたと、あまりにしょっちゅう言いすぎた。しかし、だからといってムーディがもう本物を見つけられないというわけではない。ムーディは魔法省始まって以来の優秀な『闇やみ祓ばらい』だった」
「じゃ……シリウスおじさんの言いたいのは?」ハリーはそう言いながら考えていた。「カルカロフが僕を殺そうとしているってこと? でも――なぜ?」
シリウスは戸と惑まどいを見せた。
「近ごろどうもおかしなことを耳にする」シリウスも考えながら答えた。「『死し喰くい人びと』の動きが最近活発になっているらしい。クィディッチ・ワールドカップで正体を現しただろう? 誰かが『闇やみの印しるし』を打ち上げた……それに――行方不明になっている魔法省の魔女職員のことは聞いているかね?」
「バーサ・ジョーキンズ?」
「そうだ……アルバニアで姿を消した。ヴォルデモートが最後にそこにいたという噂うわさのあるずばりの場所だ……その魔女は、三さん校こう対たい抗こう試じ合あいが行われることを知っていたはずだね?」
「ええ、でも……その魔女がヴォルデモートにばったり出会うなんて、ちょっと考えられないでしょう?」ハリーが言った。