日曜の朝、起きて服を着はじめたものの、ハリーは上の空で、足に靴くつ下したを履はかせる代わりに帽ぼう子しをかぶせようとしていたことに気づくまで、しばらくかかった。やっと、体のそれぞれの部分に当てはまる服を身に着け、ハリーは急いでハーマイオニーを探しに部屋を出た。ハーマイオニーは大おお広ひろ間まのグリフィンドール寮りょうのテーブルで、ジニーと一いっ緒しょに朝食をとっていた。ハリーは、むかむかしてとても食べる気になれず、ハーマイオニーがオートミールの最後の一さじを飲み込むまで待って、それからハーマイオニーを引っ張って校庭に出た。湖のほうへ二人でまた長い散歩をしながら、ハリーはドラゴンのこと、シリウスの言ったことすべてをハーマイオニーに話して聞かせた。
シリウスがカルカロフを警けい戒かいせよと言ったことは、ハーマイオニーを驚かせはしたが、やはり、ドラゴンのほうがより緊急きんきゅうの問題だというのがハーマイオニーの意見だった。
「とにかく、あなたが火曜日の夜も生きているようにしましょう」ハーマイオニーは必死の面おも持もちだった。「それからカルカロフのことを心配すればいいわ」
ドラゴンを抑えつける簡単な呪じゅ文もんとは何だろうと、いろいろ考えて、二人は湖の周りを三周もしていた。まったく何も思いつかなかった。そこで二人は図書室にこもった。ハリーは、ここで、ドラゴンに関するありとあらゆる本を引っ張り出し、二人で山と積まれた本に取り組みはじめた。
「『鉤かぎ爪づめを切る呪文……腐くさった鱗うろこの治ち療りょう』……だめだ。こんなのは、ドラゴンの健康管理をしたがるハグリッドみたいな変り者用だ……」
「『ドラゴンを殺すのは極めて難しい。古代の魔法が、ドラゴンの分厚い皮に浸しん透とうしたことにより、最強の呪文以外は、どんな呪文もその皮を貫くことはできない』……だけど、シリウスは簡単な呪文が効くって言ったわよね……」
「それじゃ、簡単な呪文集を調べよう」ハリーは「ドラゴンを愛しすぎる男たち」の本をポイッと放った。
第20章 第一个项目