「ハリー! よーし、よし!」バグマンがハリーのほうを振り向いて、うれしそうに言った。「さあ、入った、入った。楽にしたまえ!」
青ざめた代表選手たちの中に立っているバグマンは、なぜか、大げさな漫画のキャラクターのような姿に見えた。今日もまた、昔のチーム、ワスプスのユニフォームを着ていた。
「さて、もう全員集合したな――話して聞かせるときが来た!」バグマンが陽気に言った。
「観衆が集まったら、わたしから諸しょ君くん一人ひとりにこの袋を渡し」――バグマンは紫むらさきの絹きぬでできた小さな袋を、みんなの前で振って見せた――「その中から、諸君はこれから直面するものの小さな模も型けいを選び取る! さまざまな――エー――違いがある。それから、何かもっと諸君に言うことがあったな……ああ、そうだ……諸君の課題は、金の卵を取ることだ!」
ハリーはちらりとみんなを見た。セドリックは一回頷うなずいて、バグマンの言ったことがわかったことを示した。それから、再びテントの中を往いったり来たりしはじめた。少し青ざめて見えた。フラー・デラクールとクラムは、まったく反応しなかった。口を開けば吐はいてしまうと思ったのだろうか。たしかに、ハリーはそんな気分だった。しかし、少なくとも、ほかのみんなは自分から名乗り出たんだ……。
それからすぐ、何百、何千もの足音がテントのそばを通り過ぎるのが聞こえた。足音の主たちは興こう奮ふんして笑いさざめき、冗談じょうだんを言い合っている……。ハリーはその群れが、自分とは人種が違うかのような感じがした。そして――ハリーにはわずか一秒しかたっていないように感じられたが――バグマンが紫の絹の袋の口を開けた。