ホーンテールは飛び立とうとはしなかった。卵を守る気持のほうが強かったのだ。身を捩よじり、翼つばさを閉じたり広げたりしながら、恐ろしげな黄色い目でハリーを見張り続けていたが、卵からあまり遠くに離れるのが心配なのだ……しかし、何とかしてホーンテールが離れるようにしなければ、ハリーは絶対に卵に近づけない……慎重しんちょうに、徐じょ々じょにやるのがコツだ……。
ハリーはあちらへヒラリ、こちらへヒラリ、ホーンテールがハリーを追い払おうとして炎を吐いたりすることがないように、一定の距離をとり、しかも、ハリーから目を逸そらさないように、十分に脅おどしをかける近さを保って飛んだ。ホーンテールは首をあちらへゆらり、こちらへゆらりと振り、縦たて長ながに切れ込んだ瞳ひとみでハリーを睨にらみ、牙きばをむいた……。
ハリーはより高く飛んだ。ホーンテールの首がハリーを追って伸びた。いまや伸ばせるだけ伸ばし、首をゆらゆらさせている。蛇へび使つかいの前の蛇のように……。
ハリーはさらに一メートルほど高度を上げた。ホーンテールはイライラと唸うなり声を上げた。ホーンテールにとって、ハリーは蝿はえのようなものだ。バシッと叩たたき落としたい蝿だ。尻しっ尾ぽがまたバシリと鞭むちのように動いた。が、ハリーはいまや届かない高みにいる……ホーンテールは炎を吹き上げた。ハリーがかわした……ホーンテールの顎あごがガッと開いた……。
「さあ来い」ハリーは歯を食いしばった。焦じらすようにホーンテールの頭上をくねって飛んだ。「ほーら、ほら、捕まえてみろ……立ち上がれ。そら……」
树蜂似乎不想动窝,它太注意保护它的蛋了。它尽管不停地盘绕、扭动,把翅膀展开又收拢,收拢又展开,那双吓人的黄眼睛死死盯着哈利,但它不敢过分远离它的蛋……而哈利必须诱惑它这么做,不然他就永远无法接近那些蛋……诀窍就是要循序渐进,步步为营……
他开始不停地飞来飞去,一会儿这边,一会儿那边,小心着不要靠得太近,以免它喷出火焰把他击着,但又要构成足够的威胁,确保它的眼睛一直盯着自己。树蜂的脑袋左右摆动着,目光从一对垂直的瞳孔中注视着他,嘴里的獠牙全部露在外面……
哈利飞得更高了。树蜂的脑袋跟着他一起上升,它的脖子已经完全伸直,仍然左右摆动着,像一条蛇在耍蛇人面前起舞……
哈利又升高了几英尺,树蜂发出一声绝望的吼叫。哈利在它眼里就像一只苍蝇,一只它想拍死的苍蝇。它的尾巴又连续甩打起来,但哈利飞得太高了,尾巴够不着他……树蜂朝空中喷出火焰,哈利闪身躲过……树蜂的嘴巴张得大大的……
“过来,”哈利嘶嘶地说,在树蜂上方转过来、掉过去,挑逗着它,“过来,过来抓我呀……你上来吧……”