金の卵とファイアボルトを持ち、一時間前にはとうてい考えられなかったほど意い気き揚よう々ようとした気分で、ハリーはテントをくぐり、外に出た。ロンがすぐ横で早口にまくし立てた。
「君が最高だったさ。誰もかなわない。セドリックはへんてこなことをやったんだ。グラウンドにあった岩を変身させた……犬に……ドラゴンが自分の代わりに犬を追いかけるようにしようとした。うん、変身としてはなかなかかっこよかったし、うまくいったとも言えるな。だって、セドリックは卵を取ったからね。でも火傷やけどしちゃった――ドラゴンが途と中ちゅうで気が変わって、ラブラドールよりセドリックのほうを捕まえようって思ったんだな。セドリックは辛かろうじて逃のがれたけど。それから、あのフラーって子は、魅み惑わく呪じゅ文もんみたいなのをかけた。恍こう惚こつ状じょう態たいにしようとしたんだろうな――うん、それもまあ、うまくいった。ドラゴンがすっかり眠くなって。だけど、いびきをかいたら、鼻から炎が噴き出して、スカートに火がついてさ――フラーは杖つえから水を出して消したんだ。それから、クラム――君、信じられないと思うよ。クラムったら、飛ぶことを考えもしなかった! だけど、クラムが君の次によかったかもしれない。何だか知らないけど呪文をかけて、目を直撃ちょくげきしたんだ。ただ、ドラゴンが苦しんでのたうち回ったんで、本物の卵の半数はつぶれっちまった――審しん査さ員いんはそれで減点したんだ。卵にダメージを与えちゃいけなかったんだよ」
二人が囲い地の端はしまでやってきたとき、ロンはやっと息をついた。ホーンテールはもう連れ去られていたので、ハリーは五人の審査員が座っているのを見ることができた――囲い地の向こう正面に設けられた、金色のドレープがかかった一段高い席に座っている。