「十点満点で各審査員が採点するんだ」ロンが言った。ハリーが目を凝こらしてグラウンドの向こうを見ると、最初の審査員――マダム・マクシーム――が杖を宙に上げていた。長い、銀色のリボンのようなものが杖先から噴き出し、捻ねじれて大きな8の字を描いた。
「よし、悪くないぜ!」ロンが言った。観衆が拍手している。「君の肩のことで減点したんだと思うな……」
クラウチ氏の番だ。「9」の数字を高く上げた。
「いけるぞ!」ハリーの背中をバシンと叩たたいて、ロンが叫さけんだ。
次は、ダンブルドアだ。やはり「9」を上げた。観衆がいっそう大きく歓かん声せいを上げた。
ルード・バグマン――10点。
「10点?」ハリーは信じられない気持だった。「だって……僕、怪け我がしたし……何の冗談じょうだんだろう?」
「文句言うなよ、ハリー」ロンが興こう奮ふんして叫んだ。
そして、こんどは、カルカロフが杖を上げた。一いっ瞬しゅん間まを置いて、やがて杖から数字が飛び出した――「4」。
「なんだって?」ロンが怒って喚わめいた。「4点? 卑ひ怯きょう者もの、依え怙こ贔ひい屓きのクソッたれ。クラムには10点やったくせに!」
ハリーは気にしなかった。たとえカルカロフが0点しかくれなくても気にしなかったろう。ロンがハリーの代わりに憤ふん慨がいしてくれることのほうが、ハリーにとっては一〇〇点の価値があった。もちろんハリーはロンにそうは言わなかったが、囲い地を去るときのハリーの気分は、空気よりも軽かろやかだった。それに、ロンだけではなかった……観衆の声せい援えんもグリフィンドールからだけではなかった。その場に臨のぞんで、ハリーが立ち向かったものが何なのかを見たとき、全校生の大部分が、セドリックばかりでなく、ハリーの味方にもなった……スリザリンなんかどうでもよかった。ハリーはもう、スリザリン生に何と言われようが我が慢まんできる。
「ハリー、同点で一位だ! 君とクラムだ!」学校に戻りかけたとき、チャーリー・ウィーズリーが急いでやってきて言った。「じゃあ、俺おれ、急いで行かなくちゃ。行って、ママにふくろうを送るんだ。結果を知らせるって約束したからな――しかし、信じられないよ!――あ、そうだ――君に伝えてくれって言われたんだけど、もうちょっと残っていてくれってさ……バグマンが、代表選手のテントで、話があるんだそうだ」