「いったいどうしたの?」ハリーが聞いた。
「着いてから見せてあげるから――ああ、早く来て――」
ハリーはロンのほうを振り返った。ロンもいったい何だろうという顔でハリーを見た。
「オッケー」
ハリーはハーマイオニーと一緒に廊下を戻りはじめ、ロンが急いであとを追った。
「いいのよ、気にしなくて!」「太った婦人レディ」が後ろからイライラと声をかけた。「わたしに面倒をかけたことを、謝あやまらなくてもいいですとも! わたしはみなさんが帰ってくるまで、ここにこうしてパックリ開いたまま引ひっ掛かかっていればいいというわけね?」
「そうだよ、ありがと」ロンが振り向きざま答えた。
ハーマイオニーは七階から一階まで二人を引っ張っていった。
「ハーマイオニー、どこに行くんだい?」玄げん関かんホールに続く大だい理り石せきの階段を下りはじめたとき、ハリーが聞いた。
「いまにわかるわ。もうすぐよ!」ハーマイオニーは興こう奮ふんしていた。
階段を下りきったところで左に折れると、ドアが見えた。「炎ほのおのゴブレット」がセドリックとハリーの名前を吐はき出したあの夜、セドリックが通っていったあのドアだ。ハーマイオニーは急いでドアに向かった。ハリーはいままでここを通ったことがなかった。二人がハーマイオニーのあとについて石段を下りると、そこは、スネイプの地ち下か牢ろうに続く陰いん気きな地下通路とは違って、明々と松たい明まつに照らされた広い石の廊ろう下かだった。主に食べ物を描いた、楽しげな絵が飾ってある。
「あっ、待てよ……」廊下の中ほどまで来たとき、ハリーが何か考えながら言った。「ちょっと待って、ハーマイオニー……」
「えっ?」ハーマイオニーはハリーを振り返った。顔中がわくわくしている。
「何だかわかったぞ」ハリーが言った。
ハリーはロンを小こ突づいて、ハーマイオニーのすぐ後ろにある絵を指差した。巨大な銀の器に果物を盛もった絵だ。