「ド、ドビー?」ハリーは絶句した。
「はい、ドビーめでございます!」臍へそのあたりでキーキー声が答えた。「ドビーはハリー・ポッターさまに会いたくて、会いたくて。そうしたら、ハリー・ポッターは、ドビーめに会いにきてくださいました!」
ドビーはハリーから離れ、二、三歩下がってハリーを見上げ、ニッコリした。巨大な、テニスボールのような緑の目が、うれし涙で一杯だった。ドビーはハリーの記憶にあるとおりの姿をしていた。鉛筆のような鼻、コウモリのような耳、長い手足の指――ただ、衣服だけはまったく違っていた。
ドビーがマルフォイ家で働いていたときは、いつも同じ、汚れた枕カバーを着ていた。しかしいまは、ハリーが見たこともないような、へんてこな組み合わせの衣い装しょうだ。ワールドカップでの魔法使いたちのマグル衣装よりさらに悪かった。帽ぼう子し代わりにティーポット・カバーをかぶり、それにキラキラしたバッジをたくさん留めつけていたし、裸はだかの上半身に、馬ば蹄てい模も様ようのネクタイを締め、子供のサッカー用パンツのようなものを履はき、ちぐはぐな靴くつ下したを履いていた。その片方には、見覚えがあった。ハリーが昔履いていた靴下だ。ハリーはその黒い靴下を脱ぬぎ、マルフォイ氏がそれをドビーに与えるように計略けいりゃくを仕し掛かけ、ドビーを自由の身にしたのだ。もう片方は、ピンクとオレンジの縞しま模様だ。
「ドビー、どうしてここに?」ハリーが驚いて尋たずねた。
「ドビーはホグワーツに働きにきたのでございます!」ドビーは興こう奮ふんしてキーキー言った。「ダンブルドア校長が、ドビーとウィンキーに仕事をくださったのでございます!」