「そして、ハリー・ポッター、ドビーはそのときウィンキーを訪ね、ウィンキーも自由になったことがわかったのでございます!」ドビーがうれしそうに言った。
その言葉に、ウィンキーは椅子から身を投げ出し、石畳いしだたみの床に突つっ伏ぷし、小さなこぶしで床を叩たたきながら、惨みじめさに打ちひしがれて泣き叫さけんだ。ハーマイオニーが急いでウィンキーの横にひざまずき、慰なぐさめようとしたが、何を言ってもまったくむだだった。
ウィンキーのピーピーという泣き声を凌しのぐ甲かん高だかい声を張り上げ、ドビーの物語は続いた。「そして、そのとき、ドビーは思いついたのでございます、ハリー・ポッターさま! 『ドビーとウィンキーと一いっ緒しょの仕事を見つけたら?』と、ドビーが言います。『しもべ妖精が、二人も働けるほど仕事があるところがありますか?』と、ウィンキーが言います。そこでドビーが考えます。そしてドビーは思いついたのでございます! ホグワーツ! そしてドビーとウィンキーはダンブルドア校長先生に会いにきたのでございます。そしてダンブルドア校長先生がわたくしたちをお雇やといくださいました!」
ドビーはニッコリと、本当に明るく笑い、その目にうれし涙がまた溢あふれた。
「そしてダンブルドア校長先生は、ドビーがそう望むなら、お給料を支払うとおっしゃいました! こうしてドビーは自由な屋敷妖精になったのでございます。そしてドビーは、一週間に一ガリオンと、一ヵ月に一日のお休みをいただくのです!」
「それじゃ少ないわ!」ハーマイオニーが床に座ったままで、ウィンキーが喚わめき続ける声や、こぶしで床を打つ音にも負けない声で、怒ったように言った。
「ダンブルドア校長はドビーめに、週十ガリオンと週末を休日にするとおっしゃいました」
ドビーは、そんなに暇ひまや金ができたら恐ろしいとでもいうように、急にぶるっと震ふるえた。
「でも、ドビーはお給料を値切ったのでございます。お嬢じょうさま……。ドビーは自由が好きでございます。でもドビーはそんなにたくさんほしくはないのでございます。お嬢さま。ドビーは働くのが好きなのでございます」