「練習ですって?」ウィンキーが怒ったようにキーキー声を上げた。「ご主人さまのことをあんなふうに言うなんて、ドビー、あなたは恥をお知りにならなければなりません!」
「あの人たちは、ウィンキー、もうわたしのご主人ではおありになりません!」ドビーは挑戦するように言った。「ドビーはもう、あの人たちがどう思おうと気にしないのです!」
「まあ、ドビー、あなたは悪いしもべ妖よう精せいでいらっしゃいます!」ウィンキーが呻うめいた。涙がまた顔を濡ぬらしていた。「あたしのおかわいそうなクラウチさま。ウィンキーがいなくて、どうしていらっしゃるでしょう? クラウチさまはウィンキーが必要です。あたしの助けが必要です! あたしはずっとクラウチ家のお世話をしていらっしゃいました。あたしの前には母が、あたしのおばあさんはその前に、お世話しています……ああ、あの二人は、ウィンキーが自由になったことを知ったら、どうおっしゃるでしょう? ああ、恥ずかしい。情けない!」ウィンキーはスカートに顔を埋うずめ、また泣き叫んだ。
「ウィンキー」ハーマイオニーがきっぱりと言った。「クラウチさんは、あなたがいなくたって、ちゃんとやっているわよ。私たち、最近お会いしたけど――」
「あなたさまはあたしのご主人さまにお会いに?」ウィンキーは息を呑のんで、涙で汚れた顔をスカートから上げ、ハーマイオニーをじろじろ見た。「あなたさまは、あたしのご主人さまにホグワーツでお目にかかったのですか?」
「そうよ」ハーマイオニーが答えた。「クラウチさんとバグマンさんは、三さん校こう対たい抗こう試じ合あいの審しん査さ員いんなの」
「バグマンさまもいらっしゃる?」ウィンキーがキーキー叫んだ。ウィンキーがまた怒った顔をしたので、ハリーはびっくりした(ロンもハーマイオニーも驚いたらしいことは、二人の顔でわかった)。「バグマンさまは悪い魔法使い! とても悪い魔法使い! あたしのご主人さまはあの人がお好きではない。ええ、そうですとも。全然お好きではありません!」
「バグマンが――悪い?」ハリーが聞き返した。
「ええ、そうでございます」ウィンキーが激はげしく頭を振りながら答えた。「あたしのご主人さまがお話しになったことがあります。でも、でもウィンキーは言わないのです……。ウィンキーは――ウィンキーはご主人さまの秘ひ密みつを守ります……」
ウィンキーはまたまた涙に掻かき暮くれた。スカートに顔を埋うずめてすすり泣く声が聞こえた。