「ハリー――われわれは歯を食いしばって、やらねばならぬ」金曜の朝に難なん攻こう不ふ落らくの砦とりでに攻め入る計画を練っているかのように、ロンが言った。「今夜、談だん話わ室しつに戻るときには、われわれは二人ともパートナーを獲かく得とくしている――いいな?」
「あー……オッケー」ハリーが言った。
しかしその日、チョウを見かけるたび――休憩きゅうけい時間や昼食時間、一度は「魔ま法ほう史し」に行く途と中ちゅう――チョウは友達に囲まれていた。いったいぜんたい、一人でどこかに行くことはあるのか? トイレに入る直前を待ち伏ぶせしてはどうか? いや、しかし――そこへ行くときさえ、チョウは四、五人の女の子と連れ立っていた。それでも、ハリーがすぐに申し込まないと、チョウはきっと誰かに申し込まれてしまう。
ハリーは、スネイプの解げ毒どく剤ざいのテストに身が入らなかった。その結果、大事な材料を一つ加えるのを忘れた――ベゾアール石、山や羊ぎの結けっ石せき――これで点数は最低だった。しかし、そんなことはどうでもよかった。これからやろうとしていることに、勇気を振ふり絞しぼるのに精一杯だった。ベルが鳴ったとき、ハリーはカバンを引っつかみ、地ち下か牢ろう教室きょうしつの出口へと突進した。
「夕食のとき会おう」ハリーはロンとハーマイオニーにそう言うと、階段を駆かけ上った。
チョウに、二人だけで少し話がしたいと言うしかない……ハリーはチョウを探しながら、混み合った廊ろう下かを急いで通り抜けた。そして、(思ったより早く)チョウを見つけた。「闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ」のクラスから出てくるところだった。