「何だって?」ハリーが聞き返した。
「どうしてあんなことをしたのか、わかんないよ!」ロンがまた絶句した。「いったい何を考えてたんだろう? たくさん人がいて――みんな周りにいて――僕、どうかしてたんだ――みんなが見てた! 僕、玄げん関かんホールでフラーとすれ違ったんだ――フラーはあそこに立って、ディゴリーと話してた――そしたら、急に僕、取り憑つかれたみたいになって――あの子に申し込んだんだ!」
ロンは呻うめき、両手に顔を埋うずめた。言葉がよく聞き取れなかったが、ロンはしゃべり続けた。「フラーは僕のこと、ナマコか何か見るような目で見たんだ。答えもしなかった。そしたら――なんだか――僕、正気に戻って、逃げ出した」
「あの子にはヴィーラの血が入ってるんだ」ハリーが言った。「君の言ったことが当たってた――おばあさんがヴィーラだったんだ。君のせいじゃない。きっと、フラーがディゴリーに魅み力りょくを振り撒まいていたとき、君が通りかかったんだ。そしてその魅力にあたったんだ――だけど、フラーは骨折り損だよ。ディゴリーはチョウ・チャンと行く」
ロンが顔を上げた。
「たったいま、僕、チョウに申し込んだんだ」ハリーは気が抜けたように言った。「そしたら、チョウが教えてくれた」
ジニーが急に真ま顔がおになった。
「冗談じょうだんじゃない」ロンが言った。「相手がいないのは、僕たちだけだ――まあ、ネビルは別として。あ――ネビルが誰に申し込んだと思う? ハーマイオニーだ!」
「エーッ!」衝撃しょうげきのニュースで、ハリーはすっかりそちらに気を取られてしまった。
「そうなんだよ!」ロンが笑い出し、顔に少し血の気が戻ってきた。「『魔ま法ほう薬やく学がく』のクラスのあとで、ネビルが話してくれたんだ! あの人はいつもとってもやさしくて、僕の宿題とか手伝ってくれてって言うんだよ――でもハーマイオニーはもう誰かと行くことになってるからとネビルに言ったんだって。ヘン! まさか! ただネビルと行きたくなかっただけなんだ……だって、誰があいつなんかと?」
「やめて!」ジニーが当とう惑わくしたように言った。「笑うのはやめて――」
ちょうどそのとき、ハーマイオニーが肖しょう像ぞう画がの穴を這はい登ってきた。