「オホグワーツのたべもーのは、重すぎまーす」ある晩、大おお広ひろ間まを出るとき、フラーが不ふ機き嫌げんそうにブツブツ言うのが聞こえた(ロンは、フラーに見つからないよう、ハリーの陰に隠れてこそこそ歩いていた)。「わたし、パーティローブが着られなくなりまーす」
「あぁぁら、それは悲ひ劇げきですこと」フラーが玄げん関かんホールのほうに出ていくのを見ながら、ハーマイオニーがピシャリと言った。「あの子、まったく、何様だと思ってるのかしら」
「ハーマイオニー――君、誰と一いっ緒しょにパーティに行くんだい?」ロンが聞いた。
ハーマイオニーがまったく予期していないときに聞けば、驚いた拍ひょう子しに答えるのではないかと、ロンは何度も出し抜けにこの質問を繰り返していた。しかし、ハーマイオニーはただしかめっ面をしてこう答えた。
「教えないわ。どうせあなた、私をからかうだけだもの」
「冗談じょうだんだろう、ウィーズリー?」背はい後ごでマルフォイの声がした。「誰かが、あんなモノをダンスパーティに誘った? 出っ歯の『穢けがれた血』を?」
ハリーもロンも、さっと振り返った。ところがハーマイオニーは、マルフォイの背後の誰かに向かって手を振り、大声で言った。
「こんばんは、ムーディ先生!」
マルフォイは真っ青さおになって後ろに飛び退のき、きょろきょろとムーディの姿を探した。しかし、ムーディはまだ、教職員テーブルでシチューを食べているところだった。
「小さなイタチがピックピクだわね、マルフォイ?」ハーマイオニーは痛つう烈れつに言い放ち、ハリー、ロンと一いっ緒しょに、思いっ切り笑いながら大だい理り石せきの階段を上がった。