ハーマイオニーだった。
しかしまったくハーマイオニーには見えない。髪かみをどうにかしたらしく、ボサボサと広がった髪ではなく、つやつやと滑なめらかな髪だ。頭の後ろで捻ねじり、優ゆう雅がなシニョンに結い上げてある。ふんわりした薄うす青色の布地のローブで、立たち居い振ふる舞まいもどこか違っていた――たぶん、いつも背負っている二十冊くらいの本がないので違って見えるだけかもしれない。それに、微ほほ笑えんでいる――緊きん張ちょう気ぎ味みの微笑み方なのは確かだが――しかし、前歯が小さくなっているのがますますはっきりわかった。どうしていままで気づかなかったのか、ハリーにはわからなかった。
「こんばんは、ハリー! こんばんは、パーバティ!」ハーマイオニーが挨あい拶さつした。
パーバティはあからさまに信じられないという顔で、ハーマイオニーを見つめていた。パーバティだけではない。大広間の扉が開くと、図書室でクラムをつけ回していたファンたちは、ハーマイオニーを恨うらみがましい目で見ながら、つんつんして前を通り過ぎた。パンジー・パーキンソンは、マルフォイと一いっ緒しょに前を通り過ぎるとき、ハーマイオニーを穴の空くほど見つめたし、マルフォイでさえ、ハーマイオニーを侮ぶ辱じょくする言葉が一言も見つからないようだった。しかし、ロンは、ハーマイオニーの顔も見ずに前を通り過ぎた。
みんなが大広間の席に落ち着くと、マクゴナガル先生が代表選手とパートナーたちに、それぞれ組になって並び、先生のあとについてくるようにと言った。指示に従って大広間に入ると、みんなが拍手で迎えた。代表選手たちは、大広間のいちばん奥に置かれた、審しん査さ員いんが座っている大きな丸テーブルに向かって歩いた。
大広間の壁かべはキラキラと銀色に輝かがやく霜で覆おおわれ、星の瞬またたく黒い天井の下には、何百というヤドリギや蔦つたの花はな綱づなが絡からんでいた。各寮りょうのテーブルは消えてなくなり、代わりに、ランタンの仄ほのかな灯あかりに照らされた、十人ほどが座れる小さなテーブルが、百余り置かれていた。