ハリーは自分の足につまずかないよう必死だった。パーバティはうきうきと楽しそうで、一人ひとりに笑いかけた。パーバティがぐいぐい引っ張っていくので、ハリーは、まるで自分がドッグショーの犬になって、パーバティに引き回されているような気がした。審しん査さ員いんテーブルに近づいたとき、ロンとパドマの姿が目に入った。ロンはハーマイオニーが通り過ぎるのを、目をすぼめて見ていた。パドマは膨ふくれっ面だった。
代表選手たちが審査員テーブルに近づくと、ダンブルドアはうれしそうに微ほほ笑えんだが、カルカロフはクラムとハーマイオニーが近づくのを見て、驚くほどロンとそっくりの表情を見せた。ルード・バグマンは、今夜は鮮あざやかな紫むらさきに大きな黄色の星を散らしたローブを着込み、生徒たちと一いっ緒しょになって夢中で拍手していた。マダム・マクシームは、いつもの黒い繻しゅ子すのドレスではなくラベンダー色の流れるような絹のガウンをまとい、上品に拍手していた。しかし、クラウチ氏は――ハリーはいま気づいた――いない。審査員テーブルの五人目の席には、パーシー・ウィーズリーが座っていた。
代表選手がそれぞれのパートナーとともに審査員のテーブルまで来ると、パーシーは自分の隣となりの椅子を引いて、ハリーに目配せした。ハリーはその意味を悟さとって、パーシーの隣に座った。パーシーは真新しい濃のう紺こんのパーティローブを着て、鼻高々の様子だった。
「昇進しょうしんしたんだ」ハリーに聞く間も与えず、パーシーが言った。その声の調子は、「宇宙の最高統とう治ち者しゃ」に選ばれたとでも発表したかのようだった。「クラウチ氏個人の補ほ佐さ官かんだ。僕は、クラウチ氏の代理でここにいるんですよ」
「あの人、どうして来ないの?」ハリーが聞いた。宴えん会かいの間中、鍋なべ底ぞこの講こう義ぎをされたらたまらないと思った。