「クラウチ氏は、残念ながら体調がよくない。まったくよくない。ワールドカップ以来ずっと調子がおかしい。それも当然――働きすぎだね。もう若くはない――もちろん、まだ冴さえているし、昔と変わらないすばらしい頭脳だ。しかし、ワールドカップは魔ま法ほう省しょう全体にとっての一大不ふ祥しょう事じだったし、クラウチ氏個人も、あのブリンキーとか何とかいう屋や敷しきしもべの不始末で、大きなショックを受けられた。当然、クラウチ氏はそのあとすぐ、しもべを解かい雇こした。しかし――まあ、なんだね、クラウチ氏は歳を取ってきてるわけだし、世話をする人が必要だ。しもべがいなくなってから、家の中は確実に快適ではなくなったと、クラウチ氏も気づいただろうね。それに、この対抗試合トーナメントの準備はあるし、ワールドカップのあとのゴタゴタの始末をつけないといけなかったし――あのスキーターっていう嫌いやな女がうるさく嗅かぎ回ってるし――ああ、お気の毒に。クラウチ氏はいま、静かにクリスマスを過ごしていらっしゃる。当然の権利だよ。自分の代理を務める信頼できる者がいることをご存ぞん知じなのが、僕としてはうれしいね」
ハリーは、クラウチ氏がパーシーを「ウェーザビー」と呼ばなくなったかどうか聞いてみたくてたまらなかったが、何とか思いとどまった。
金色に輝かがやく皿には、まだ何のご馳ち走そうもなかったが、小さなメニューが一人ひとりの前に置かれていた。ハリーは、どうしていいかはっきりわからないまま、メニューを取り上げて周りを見回した。ウェイターはいなかった。しかし、ダンブルドアは、自分のメニューをじっくり眺ながめ、自分の皿に向かって、はっきりと、「ポークチョップ」と言った。
すると、ポークチョップが現れた。そうか、と合が点てんして、同じテーブルに座った者は、それぞれ自分の皿に向かって注文を出した。この新しい、より複雑な食事の仕方を、ハーマイオニーはどう思うだろうかと、ハリーはちらりとハーマイオニーを見た――屋や敷しきしもべ妖よう精せいにとっては、これはずいぶん余分な労力が要いるはずだが?――しかし、ハーマイオニーはこのときにかぎってS・P・E・Wのことを考えていないようだった。ビクトール・クラムとすっかり話し込んでいて、自分が何を食べているのかさえ気づかないようだった。