ハーマイオニーが、こんどはクラムに自分の名前の正しい発音を教えていた。クラムは「ハーミイ‐オウン」と呼び続けていたのだ。
「ハー‐マイ‐オ‐ニー」ハーマイオニーがゆっくり、はっきり発音した。
「ハーム‐オウン‐ニニー」
「まあまあね」ハリーが見ているのに気づいて、ハーマイオニーがニコッとしながら言った。
食事を食べ尽くしてしまうと、ダンブルドアが立ち上がり、生徒たちにも立ち上がるように促うながした。そして、杖つえを一ひと振ふりすると、テーブルはズイーッと壁かべ際ぎわに退しりぞき、広いスペースができた。それから、ダンブルドアは右手の壁に沿ってステージを立ち上げた。ドラム一式、ギター数本、リュート、チェロ、バグパイプがそこに設せっ置ちされた。
いよいよ「妖よう女じょシスターズ」が、熱狂的な拍手に迎えられてドヤドヤとステージに上がった。全員異い常じょうに毛深く、着ている黒いローブは、芸術的に破いたり、引き裂さいたりしてあった。それぞれが楽器を取り上げた。夢中でシスターズに見入っていたハリーは、これからのことをほとんど忘れていたが、突然、テーブルのランタンがいっせいに消え、ほかの代表選手たちが、パートナーと一いっ緒しょに立ち上がったのに気づいた。
「さあ!」パーバティが声を殺して促した。「わたしたち、踊おどらないと!」
ハリーは立ち上がりざま、自分のローブの裾すそを踏ふんづけた。「妖よう女じょシスターズ」は、スローな物悲しい曲を奏かなではじめた。ハリーは、誰の目も見ないようにしながら、煌こう々こうと照らされたダンスフロアに歩み出た(シェーマスとディーンがハリーに手を振り、からかうように笑っているのが見えた)。次の瞬間しゅんかん、パーバティがハリーの両手をつかむや否いなや、片方の手を自分の腰に回し、もう一方の手をしっかり握り締めた。