「やあ」ハリーが言った。ロンは何も言わなかった。
「暑くない?」ハーマイオニーは手で顔を扇あおぎながら言った。「ビクトールが何か飲み物を取りにいったところよ」
ロンが、じろりとハーマイオニーを睨ねめつけた。
「ビクトール?」ロンが言った。「ビッキーって呼んでくれって、まだ言わないのか?」
ハーマイオニーは驚いてロンを見た。
「どうかしたの?」ハーマイオニーが聞いた。
「そっちがわからないって言うんなら」ロンが辛しん辣らつな口調で言った。「こっちが教えるつもりはないね」
ハーマイオニーはロンをまじまじと見た。それからハリーを見た。ハリーは肩をすくめた。
「ロン、何が――?」
「あいつは、ダームストラングだ!」ロンが吐はき捨てるように言った。「ハリーと張り合ってる! ホグワーツの敵だ! 君――君は――」ロンは、明らかに、ハーマイオニーの罪の重さを十分言い表す言葉を探していた。「敵とベタベタしている。君のやってることはそれだ!」
ハーマイオニーはぽかんと口を開けた。
「バカ言わないで!」しばらくしてハーマイオニーが言った。「敵ですって! まったく――あの人が到着とうちゃくしたとき、あんなに大騒ぎしてたのはどこのどなたさん? サインをほしがったのは誰なの? 寮りょうにあの人のミニチュア人形を持ってる人は誰?」
ロンは無む視しを決め込んだ。
「二人で図書室にいるときにでも、お誘いがあったんだろうね?」
「ええ、誘われたわ」ハーマイオニーのピンクの頬ほおが、ますます紅あかくなった。「それがどうしたって言うの?」
「何があったんだ?――あいつを『反へ吐ど』に入れようとでもしたのか?」
「そんなことしないわ! 本気で知りたいなら言うけど、あの人――あの人、毎日図書室に来ていたのは、私と話がしたいからだった、と言ったの。だけど、そうする勇気がなかったって!」ハーマイオニーはこれだけを一気に言い終えると、ますます真っ赤になり、パーバティのローブと同じ色になった。