「へー、そうかい――それがヤツの言い方ってわけだ」ロンがねちっこく言った。
「それって、どういう意味?」
「見え見えだろ? あいつはカルカロフの生徒じゃないか? 君が誰といつも一いっ緒しょか、知ってる……あいつはハリーに近づこうとしてるだけだ――ハリーの内部情報をつかもうとしてるか――それとも、ハリーに十分近づいて呪のろいをかけようと――」
ハーマイオニーは、ロンに平手打ちを食らったような顔をした。口を開いたとき、声が震ふるえていた。
「言っとくけど、あの人は、私にただの一言もハリーのことを聞いたりしなかったわ。一言も――」
ロンは電でん光こう石せっ火か、矛ほこ先さきを変えた。
「それじゃあいつは、あの卵の謎なぞを解くのに、君の助けを借りたいと思ってるんだ! 図書室でイチャイチャしてるとき、君たち、知恵を出し合ってたんだろう――」
「私、あの人が卵の謎を考える手助けなんか、絶対にしないわ!」ハーマイオニーは烈れっ火かのごとく怒った。「絶対によ! よくもそんなことが言えるわね――私、ハリーに試合に勝ってほしいのよ。そのことは、ハリーが知ってるわ。そうでしょう、ハリー?」
「それにしちゃ、おかしなやり方で応おう援えんしてるじゃないか」ロンが嘲あざけった。
「そもそも、この試合は、外国の魔法使いと知り合いになって、友達になることが目的のはずよ!」ハーマイオニーが激はげしい口調で言った。
「違うね!」ロンが叫さけんだ。「勝つことが目的さ!」
周囲の目が集まりはじめた。
「ロン」ハリーが静かに言った。「ハーマイオニーがクラムと一緒に来たこと、僕、何とも思っちゃいないよ――」
しかし、ロンはハリーの言うことも無む視しした。
「行けよ。ビッキーを探しにさ。君がどこにいるか、あいつ、探してるぜ」ロンが言った。
「あの人をビッキーなんて呼ばないで!」ハーマイオニーはパッと立ち上がり、憤ふん然ぜんとダンスフロアを横切り、人混みの中に消えた。
ロンはハーマイオニーの後ろ姿を、怒りと満足の入り交まじった顔で見つめていた。