「わたしとダンスする気があるの?」パドマがロンに聞いた。
「ない」ロンは、ハーマイオニーの行ったあとをまだ睨にらみつけていた。
「そう」パドマはバシッと言うと、立ち上がってパーバティのところに行った。パーバティと一緒にいたボーバトンの男の子は、あっという間に友達を一人調達ちょうたつしてきた。その早はや業わざ。ハリーは、これは間違いなく「呼よび寄よせ呪じゅ文もん」で現れたに違いないと思った。
「ハーム‐オウン‐ニニーはどこ?」声がした。
クラムがバタービールを二つつかんでハリーたちのテーブルに現れたところだった。
「さあね」ロンがクラムを見上げながら、取りつく島しまもない言い方をした。「見失ったのかい?」
クラムはいつものむっつりした表情になった。
「でヴぁ、もし見かけたら、ヴぉくが飲み物を持っていると言ってください」そう言うと、クラムは背中を丸めて立ち去った。
「ビクトール・クラムと友達になったのか? ロン?」
パーシーが揉もみ手しながら、いかにももったいぶった様子で、せかせかとやってきた。
「結けっ構こう! そう、それが大事なんだよ――国こく際さい魔ま法ほう協きょう力りょくが!」
ハリーの迷惑をよそに、パーシーはパドマの空あいた席にさっと座った。審しん査さ員いんテーブルはいまや誰もいない。ダンブルドア校長はスプラウト先生と、ルード・バグマンはマクゴナガル先生と踊おどっていた。マダム・マクシームはハグリッドと二人、生徒たちの間をワルツで踊り抜け、ダンスフロアに幅広く通り道を刻きざんでいた。カルカロフはどこにも見当たらない。曲が終わると、みんながまた拍手した。ハリーは、ルード・バグマンがマクゴナガル先生の手にキスして、人混みを掻かき分けて戻ってくるのを見た。そのとき、フレッドとジョージがバグマンに近づいて声をかけるのが見えた。