校庭はまだ深々と雪に覆おおわれ、温室の窓はびっしりと結けつ露ろして、「薬やく草そう学がく」の授業中、外が見えなかった。こんな天気に「魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく」の授業を受けるのは、誰も気が進まなかった。しかし、ロンの言うとおり、スクリュートのお陰でみんな十分に暖かくなれるかもしれない。スクリュートに追いかけられるとか、激げき烈れつな爆発でハグリッドの小屋が火事になるとか。
ハグリッドの小屋にたどり着いてみると、白はく髪はつを短く刈かり込み、顎あごが突き出た老魔女が、戸口に立っていた。
「さあ、お急ぎ。鐘はもう五分前に鳴ってるよ」雪道でなかなか先に進まない生徒たちに、魔女が大声で呼びかけた。
「あなたは誰ですか?」ロンが魔女を見つめた。「ハグリッドはどこ?」
「わたしゃ、グラブリー‐プランク先生」魔女は元気よく答えた。「『魔法生物飼育学』の代用教師だよ」
「ハグリッドはどこなの?」ハリーも大声で同じことを聞いた。
「あの人は気分が悪くてね」魔女はそれしか言わなかった。
低い不ふ愉ゆ快かいな笑い声がハリーの耳に入ってきた。振り返ると、ドラコ・マルフォイとスリザリン生が到着とうちゃくしていた。どの顔も上じょう機き嫌げんで、グラブリー‐プランク先生を見ても誰も驚いていない。
「こっちへおいで」グラブリー‐プランク先生は、ボーバトンの巨大な馬たちが震ふるえている囲い地に沿って、ずんずん歩いていった。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、魔女について歩きながら、ハグリッドの小屋を振り返った。カーテンが全部閉まっている。ハグリッドは病気で、たった一人であそこにいるのだろうか?
「ハグリッドはどこが悪いのですか?」ハリーは急いでグラブリー‐プランク先生に追いついて、聞いた。
「気にしなくていいよ」余計なお世話だとでも言いたげな答えだった。
「でも気になります」ハリーの声に熱がこもった。「いったいどうしたのですか?」