「なんでわかったんだろう?」ロンが囁ささやいた。
ハリーが気にしていたのは、そのことではなかった。
「『僕たちはみんな、ハグリッドをとても嫌っています』だって? どういうつもりだ?」
ハリーはマルフォイに向かって吐はき捨てるように言った。
「こいつが――」ハリーはクラッブを指差しながら言った。「――レタス喰い虫にひどく噛かまれた? デタラメだ。あいつらには歯なんかないのに!」
クラッブはいかにも得意気に、ニタニタ笑っていた。
「まあ、これでやっと、あのデカブツの教師生命もおしまいだな」マルフォイの目がギラギラ光っていた。「半巨人か……それなのに、僕なんか、あいつが小さいときに『骨ほね生はえ薬』を一ひと瓶びん飲み干ほしたのかと思っていた……どこの親だって、これは絶対気に入らないだろうな……ヤツが子供たちを食ってしまうと心配するだろうよ。ハ、ハ、ハ……」
「よくも――」
「そこの生徒、ちゃんと聞いてるの?」グラブリー‐プランク先生の声が、男子生徒のほうに飛んできた。
女の子たちは、みんな一角獣ユニコーンの周りに集まって、撫なでていた。ハリーは一角獣のほうに目を向けたが、何も見てはいなかった。怒りのあまり、「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」を持った両手が震ふるえていた。グラブリー‐プランク先生は、遠くの男子生徒にも聞こえるように大声で、一角獣のさまざまな魔法特性を列れっ挙きょしているところだった。
「あの女の先生にずっといてほしいわ!」
授業が終わり、昼食をとりにみんなで城に向かう途と中ちゅう、パーバティ・パチルが言った。
「『魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく』はこんな感じだろうって、わたしが思っていたのに近いわ……一角獣のようなちゃんとした生物で、怪物なんかじゃなくって……」
「ハグリッドはどうなるんだい?」城への石段を上りながら、ハリーが怒った。
「どうなるかですって?」パーバティが声を荒あららげた。「森番に変わりないでしょう?」
ダンスパーティ以来、パーバティはハリーにいやに冷れい淡たんだった。ハリーは、パーバティのことをもう少し気にかけてやるべきだったと思ったが、どっちにしろパーバティは楽しくやっていたようだ。この次、週末にホグズミードに行くときには、ボーバトンの男の子と会う約束になっているのよと、チャンスさえあれば誰かれなく吹聴ふいちょうしていたのは確かだ。