「小鬼ゴブリンはいったい何が望みなんですか?」小鬼がまだバグマンを睨にらみ続けているのに気づいて、ハリーが聞いた。
「あー――それはだ……」バグマンは急にそわそわし出した。「あいつらは……あー……バーティ・クラウチを探しているんだ」
「どうしてこんなところで探すんですか?」ハリーが聞いた。「クラウチさんは、ロンドンの魔ま法ほう省しょうでしょう?」
「あー……実は、どこにいるか、わたしにはわからんのだ」バグマンが言った。「何と言うか……仕事に出てこなくなったのだ。もう二、三週間欠勤している。助手のパーシーという若者は、病気だと言うんだがね。ふくろう便で指示を送ってくるらしいが。だが、このことは、ハリー、誰にも言わないでくれるかな? なにしろ、リータ・スキーターがまだあっちこっち嗅かぎ回っているんでね。バーティの病気のことを知ったら、間違いなく、何か不吉な記事にでっち上げる。バーティがバーサ・ジョーキンズと同じに行方不明だとか何とか」
「バーサ・ジョーキンズのことは、何かわかったのですか?」ハリーが聞いた。
「いや」バグマンはまた強こわばった顔をした。「もちろん捜そう索さくさせているが……」(遅いぐらいだ、とハリーは思った)「しかし、不思議なこともあるものだ。バーサはたしかにアルバニアに到着とうちゃくしている。なにせ、そこでまたいとこに会っている。それから、またいとこの家を出て、おばさんに会いに南に向かった……そしてその途と中ちゅう、影も形もなく消えた。何が起こったやらさっぱりわからん……駆かけ落ちするタイプには見えないんだが。たとえばの話だが……いや、しかし……。何だい、こりゃ? 小鬼とバーサの話などして。わたしが聞きたかったのは」バグマンは声を落とした。「金の卵はどうしてるかね?」
「あの……まあまあです」ハリーは言葉を濁にごした。
バグマンはハリーのごまかしを見抜いたようだった。