「いいかい、ハリー」バグマンは(声を低めたまま)言った。「わたしは何もかも気の
なぜバグマンの申し出を断ことわるのか、ハリーにはよくわからなかった。ただ、バグマンはハリーにとって、まったく赤の他人と言ってもよい。だから、バグマンの助けを受けるのは、ロンやハーマイオニー、シリウスの忠告を聞くことより、ずっと八や百お長ちょうに近い気がしただけだ。
バグマンは、ほとんど侮ぶ辱じょくされたような顔をした。しかし、そのときフレッドとジョージが現れたので、それ以上何も言えなくなった。
「こんにちは、バグマンさん」フレッドが明るい声で挨あい拶さつした。「僕たちから何かお飲み物を差し上げたいのですが?」
「あー……いや」バグマンは残念そうな目つきで、もう一度ハリーを見た。「せっかくだが、お二人さん」
バグマンは、ハリーに手ひどく振られたような顔でハリーを眺ながめていたが、フレッドとジョージも、バグマンと同じくらい残念そうな顔をしていた。
「さて、急いで行かないと」バグマンが言った。「それじゃあ。ハリー、がんばれよ」
バグマンは急いでパブを出ていった。小鬼ゴブリンは全員椅子からするりと下りて、バグマンのあとを追った。ハリーはロンとハーマイオニーのところへ戻った。
「何の用だったんだい?」ハリーが椅子に座るや否いなや、ロンが聞いた。
「金の卵のことで、助けたいって言った」ハリーが答えた。
「そんなことしちゃいけないのに!」ハーマイオニーはショックを受けたような顔をした。「審しん査さ員いんの一人じゃない! どっちにしろ、ハリー、あなたもうわかったんでしょう?――そうでしょう?」
「あ……まあね」ハリーが言った。
「バグマンが、あなたに八や百お長ちょうを勧めてたなんて、ダンブルドアが知ったら、きっと気に入らないと思うわ!」ハーマイオニーは、まだ、絶対に納得できないという顔をしていた。「バグマンが、セドリックもおんなじように助けたいって思っているならいいんだけど!」
「それが、違うんだ。僕も質問した」ハリーが言った。
「ディゴリーが援えん助じょを受けているかいないかなんて、どうでもいいだろ?」
ロンが言った。ハリーも内心そう思った。