「あの小鬼ゴブリンたち、あんまり和わ気き藹あい々あいの感じじゃなかったわね」バタービールをすすりながら、ハーマイオニーが言った。「こんなところで、何していたのかしら?」
「クラウチを探してる。バグマンはそう言ったけど」ハリーが言った。「クラウチはまだ病気らしい。仕事に来てないんだって」
「パーシーが一いっ服ぷく盛もってるんじゃないか」ロンが言った。「もしかしたら、クラウチが消えれば、自分が『国こく際さい魔ま法ほう協きょう力りょく部ぶ』の部長に任命されるって思ってるんだ」
ハーマイオニーが、「そんなこと、冗談じょうだんにも言うもんじゃないわ」という目つきでロンを睨にらんだ。
「変ね。小鬼がクラウチさんを探すなんて……普通なら、あの連中は『魔ま法ほう生せい物ぶつ規き制せい管かん理り部ぶ』の管かん轄かつでしょうに」
「でも、クラウチはいろんな言葉がしゃべれるし」ハリーが言った。「たぶん、通訳が必要なんだろう」
「こんどはかわいそうな『小鬼ちゃん』の心配かい?」ロンがハーマイオニーに言った。「エス・ピー・ユー・ジーか何か始めるのかい? 醜いS小鬼Pを守るU会Gとか?」
「お・あ・い・に・く」ハーマイオニーが皮ひ肉にくたっぷりに言った。「小鬼には保護は要いりません。ビンズ先生のおっしゃったことを聞いていなかったの? 小鬼の反乱のこと?」
「聞いてない」ハリーとロンが同時に答えた。
「つまり、小鬼たちは魔法使いに太た刀ち打うちできる能力があるのよ」ハーマイオニーがまた一口バタービールをすすった。「あの連中はとっても賢いの。自分たちのために立ち上がろうとしない屋や敷しきしもべ妖よう精せいとは違ってね」