「お、わ」ロンが入口を見つめて声を上げた。
リータ・スキーターが入ってきたところだった。今日はバナナ色のローブを着ている。長い爪つめをショッキング・ピンクに染そめ、いつもの腹の出たカメラマンを従えている。飲み物を買い、カメラマンと二人でほかの客を掻かき分け、近くのテーブルにやってきた。近づいてくるリータ・スキーターを、ハリー、ロン、ハーマイオニーがギラギラと睨にらみつけた。
スキーターは何かとても満足げに、早口でしゃべっている。
「……あたしたちとあんまり話したくないようだったわねえ、ボゾ? さーて、どうしてか、あんた、わかる? あんなにぞろぞろ小鬼を引き連れて、何してたんざんしょ? 観光案内だとさ……バカ言ってるわ……あいつはまったく嘘うそがへたなんだから。何か臭わない? ちょっとほじくってみようか?『魔法ゲーム・スポーツ部、失脚しっきゃくした元部長、ルード・バグマンの不ふ名めい誉よ』……なかなか切れのいい見出しじゃないか、ボゾ――あとは、見出しに合う話を見つけるだけざんす――」
「また誰かを破は滅めつさせるつもりか?」ハリーが大声を出した。
何人かが声のほうを振り返った。リータ・スキーターは、声の主を見つけると、宝ほう石せき縁ぶちのメガネの奥で、目を見開いた。
「ハリー!」リータ・スキーターがニッコリした。「すてきざんすわ! こっちに来て一いっ緒しょに――」
「おまえなんか、いっさいかかわりたくない。三メートルの箒ほうきを中に挟はさんだって嫌いやだ」
ハリーはカンカンに怒っていた。
「いったい何のために、ハグリッドにあんなことをしたんだ?」
リータ・スキーターは、眉まゆペンシルでどぎつく描いた眉を吊つり上げた。
「読者には真実を知る権利があるのよ。ハリー、あたくしはただ自分の役目を――」
「ハグリッドが半巨人だって、それがどうだっていうんだ?」ハリーが叫さけんだ。「ハグリッドは何にも悪くないのに!」