「ハーマイオニー、あいつ、きっと次は君を狙うぜ」急ぎ足で帰る道々、ロンが心配そうに低い声で言った。
「やるならやってみろだわ!」ハーマイオニーは怒りに震ふるえながら、挑いどむように言った。「目にもの見せてやる! バカな小娘? 私が? 絶対にやっつけてやる。最初はハリー、次にハグリッド……」
「リータ・スキーターを刺し激げきするなよ」ロンが心配そうに言った。「ハーマイオニー、僕、本気で言ってるんだ。あの女、君の弱みを突いてくるぜ――」
「私の両親は『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』を読まないから、私は、あんな女に脅おどされて隠れたりしないわ!」
ハーマイオニーがどんどん早足で歩くので、ハリーとロンはついていくだけでやっとだった。ハリーにとって、ハーマイオニーがこんなに怒ったのを見るのは、ドラコ・マルフォイの横面よこっつらをピシャリと張ったとき以来だった。
「それに、ハグリッドはもう逃げ隠れしてちゃダメ! あんな、ヒトのでき損そこないみたいな女のことでオタオタするなんて、絶対ダメ! さあ、行くわよ!」
ハーマイオニーは突然走り出した。二人を従え、帰り道を走り続け、羽の生はえたイノシシ像が一対立っている校門を駆かけ抜け、校庭を突き抜けて、ハグリッドの小屋へと走った。
小屋のカーテンはまだ閉まったままだった。三人が近づいたので、ファングが吠ほえる声が聞こえた。
「ハグリッド!」玄げん関かんの戸をガンガン叩たたきながら、ハーマイオニーが叫さけんだ。「ハグリッド、いい加減にして! そこにいることはわかってるわ! あなたのお母さんが巨人だろうと何だろうと、誰も気にしてないわ、ハグリッド! リータみたいな腐った女にやられてちゃダメ! ハグリッド、ここから出るのよ。こんなことしてちゃ――」
ドアが開いた。ハーマイオニーは「ああ、やっと!」と言いかけて、突然口をつぐんだ。ハーマイオニーに面と向かって立っていたのは、ハグリッドではなく、アルバス・ダンブルドアだった。