二人で一いっ緒しょに階段を上った。ムーディは、こんなお宝は見たことがないというふうに、まだ地図に見入っていた。ムーディの部屋の入口まで二人は黙だまって歩いた。部屋の前で、ムーディは目を上げてハリーを見た。
「ポッター、おまえ、『闇やみ祓ばらい』の仕事に就つくことを、考えたことがあるか?」
「いいえ」ハリーはぎくりとした。
「考えてみろ」ムーディは一人頷うなずきながら、考え深げにハリーを見た。「うむ、まっこと……。ところで……おまえは、今夜、卵を散歩に連れ出したわけではあるまい?」
「あの――いいえ」ハリーはニヤリとした。「ヒントを解こうとしていました」
ムーディはハリーにウインクした。「魔法の目」が、またぐるぐる回った。
「いいアイデアを思いつくには、夜の散歩ほどよいものはないからな、ポッター……。また明日会おう……」
ムーディはまたしても「忍しのびの地ち図ず」を眺ながめながら自分の部屋に入り、ドアを閉めた。
ハリーは想おもいに耽ふけりながら、ゆっくりとグリフィンドール塔とうに戻った。スネイプのこと、クラウチのこと、それらがどういう意味を持つのだろう……。クラウチは、好きなときにホグワーツに入り込めるなら、どうして仮け病びょうを使っているんだ? スネイプの研究室に、何が隠してあると思ったんだ?
それに、ムーディは僕が「闇やみ祓ばらい」になるべきだと考えた! おもしろいかもしれない……。しかし、十分後、卵と透とう明めいマントを無事トランクに戻して、そっと四本柱のベッドに潜り込んでから、ハリーは考え直した。自分の仕事にすべきかどうかは、ほかの「闇祓い」たちが、どのぐらい傷きずだらけかを調べてからにしよう。