ハーマイオニーはクッションを「追い払い」した。クッションは教室を横切って飛び、決められた目的地の箱にスポッと着地した。ハリーはハーマイオニーを見ながら考えていた……たしかに、スネイプは一度ハリーの命を救った。しかし、奇妙なことに、スネイプはハリーを毛け嫌ぎらいしている。学生時代、同どう窓そうだったハリーの父親を毛嫌いしていたように。スネイプはハリーを減点処分にするのが大好きだし、罰ばつを与えるチャンスは逃のがさない。退学処分にすべきだと提てい案あんすることさえある。
「ムーディが何を言おうが私は気にしないわ」ハーマイオニーがしゃべり続けた。「ダンブルドアはばかじゃないもの。ハグリッドやルーピン先生を信用なさったのも正しかった。あの人たちを雇やとおうとはしない人は山ほどいるけど。だから、ダンブルドアはスネイプについても間違っていないはずだわ。たとえスネイプが少し――」
「――悪わるでも」ロンがすぐに言葉を引き取った。「だけどさあ、ハーマイオニー、それならどうして『闇やみの魔ま法ほう使つかい捕ほ獲かく人にん』たちが、そろってあいつの研究室を捜そう索さくするんだい?」
「クラウチさんはどうして仮け病びょうなんか使うのかしら?」ハーマイオニーはロンの言葉を無む視しした。「ちょっと変よね。クリスマス・ダンスパーティには来られないのに、来たいと思えば、真夜中にここに来られるなんて、おかしくない?」
「君はクラウチが嫌いなんだろう? しもべ妖よう精せいのウィンキーのことで」クッションを窓のほうに吹っ飛ばしながら、ロンが言った。
「あなたこそ、スネイプに難なん癖くせをつけたいんじゃない」クッションをきっちり箱の中へと飛ばしながら、ハーマイオニーが言った。
「僕はただ、スネイプがやり直すチャンスをもらう前に、何をやったのか知りたいんだ」
ハリーが厳きびしい口調で言った。ハリーのクッションは、自分でも驚いたことに、まっすぐ教室を横切り、ハーマイオニーのクッションの上に見事に着地した。