ホグワーツで何か変わったことがあればすべて知りたい、というシリウスの言葉に従い、ハリーはその夜、茶モリフクロウにシリウス宛あての手紙を持たせた。クラウチがスネイプの研究室に忍び込んだことや、ムーディとスネイプの会話のことを記しるした。それからハリーは、自分にとってより緊急きんきゅうな課題に真剣に取り組んだ。二月二十四日に、一時間、どうやって水の中で生き延のびるかだ。
ロンはまた「呼よび寄よせ呪じゅ文もん」を使うというアイデアが気に入っていた――ハリーがアクアラングの説明をすると、ロンは、いちばん近くのマグルの町から、一式呼び寄せればいいと言った。ハーマイオニーはこの計画を叩たたきつぶした。一時間の制限時間内でハリーがアクアラングの使い方を習得することはありえないし、たとえそんなことができたにしても、「国こく際さい魔ま法ほう秘ひ密みつ綱領こうりょう」に触ふれて失格になるに違いないというのだ。アクアラング一式がホグワーツ目指して田舎の空をブンブン飛ぶのを、マグルの誰も気づかないと思うのは虫がよすぎる。
「もちろん、理想的な答えは、あなたが潜水艦か何かに変身することでしょうけど」ハーマイオニーが言った。「ヒトを変身させるところまで習ってたらよかったのに! だけど、それは六年生まで待たないといけないし。生なま半はん可かに知らないことをやったら、とんでもないことになりかねないし……」
「うん、僕も、頭から潜せん望ぼう鏡きょうを生はやしたままうろうろするのはうれしくないしね」ハリーが言った。「ムーディの目の前で誰かを襲おそったら、ムーディが、僕を変身させてくれるかもしれないけど……」
「でも、何に変身したいか選ばせてくれるわけじゃないでしょ」ハーマイオニーは真ま顔がおで言った。「だめよ。やっぱりいちばん可能性のあるのは、何かの呪じゅ文もんだわね」