ハリーはシリウスの手紙の裏に日づけを走り書きし、また茶モリフクロウの脚にそれを結びつけ、フクロウが再び飛び立つのを見送った。僕は何を期待していたんだろう? 水中で生き残る方法のアドバイスか? ハリーはスネイプとムーディのことをシリウスに教えるのに夢中で、卵のヒントに触ふれるのをすっかり忘れていたのだ。
「次のホグズミード行きのこと、シリウスはどうして知りたいのかな?」ロンが言った。
「さあ」ハリーはのろのろと答えた。茶モリフクロウを見たときに一瞬いっしゅん心にはためいた幸福感が萎しぼんでしまった。「行こうか……『魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく』に」
ハグリッドが「尻しっ尾ぽ爆ばく発はつスクリュート」の埋め合わせをするつもりなのか、スクリュートが二匹しか残っていないせいなのか、それともグラブリー‐プランク先生のやることくらい自分にもできると証明したかったのか、ハリーにはわからなかった。しかし、ハグリッドは仕事に復ふっ帰きしてからずっと、一角獣ユニコーンの授業を続けていた。ハグリッドが、怪物についてと同じくらい一角獣にも詳くわしいことがわかった。ただ、ハグリッドが、一角獣に毒どく牙ががないのは残念だ、と思っていることは確かだった。
今日は、いったいどうやったのか、ハグリッドは一角獣の赤ちゃんを二頭捕らえていた。成せい獣じゅうと違い、純粋じゅんすいな金色だ。パーバティとラベンダーは、二頭を見てうれしさのあまりぼーっと恍こう惚こつ状じょう態たいになり、パンジー・パーキンソンでさえ、どんなに気に入ったか、感情を隠しきれないでいた。
「大人おとなより見つけやすいぞ」ハグリッドがみんなに教えた。「二歳ぐれえになると、銀色になるんだ。そんでもって、四歳ぐれえで角が生はえるな。すっかり大人になって、七歳ぐれえになるまでは、真っ白にはならねえ。赤ん坊のときは、少しばっかり人ひと懐なつっこいな……男の子でもあんまり嫌いやがらねえ……ほい、ちょっくら近くに来いや。撫なでたければ撫でてええぞ……この砂さ糖とうの塊かたまりを少しやるとええ……」