「僕、どうするべきだったのか、わかったよ」「トリック好きのためのおいしいトリック」の上に突つっ伏ぷして休憩きゅうけいしながら、ハリーが言った。「僕、シリウスみたいに、『動物もどきアニメーガス』になる方法を習えばよかった」
「うん。好きなときに金魚になれたろうに」ロンが言った。
「それとも蛙かえるだ」ハリーが欠伸あくびした。疲れきっていた。「『動物もどきアニメーガス』になるには何年もかかるのよ。それから登とう録ろくやら何やらしなきゃならないし」
ハーマイオニーもぼーっとしていた。こんどは「奇き妙みょうな魔法のジレンマとその解決法」の索さく引いんに目を凝こらしている。
「マクゴナガル先生がおっしゃったわ。憶おぼえてるでしょ……『魔ま法ほう不ふ適てき正せい使し用よう取とり締しまり局きょく』に登とう録ろくが必要だって……どんな動物に変身するかとか、特徴とくちょうとか。濫らん用ようできないように……」
「ハーマイオニー、僕、冗談じょうだんで言ったんだよ」ハリーが疲れた声で言った。「明日の朝までに蛙かえるになるチャンスがないことぐらい、わかってる……」
「ああ、これは役に立たないわ」ハーマイオニーは「奇き妙みょうな魔法のジレンマとその解決法」をパタンと閉じながら言った。「鼻毛を伸ばして小さな輪わを作るですって。どこのどなたがそんなことしたがるって言うの?」
「俺おれ、やってもいいよ」フレッド・ウィーズリーの声がした。「話の種になるじゃないか」
ハリー、ロン、ハーマイオニーが顔を上げると、どこかの本ほん棚だなの陰からフレッドとジョージが現れた。
「こんなところで、二人で何してるんだ?」ロンが聞いた。
「おまえたちを探してたのさ」ジョージが言った。「マクゴナガルが呼んでるぞ、ロン。ハーマイオニー、君もだ」
「どうして?」ハーマイオニーは驚いた。
「知らん……少し深しん刻こくな顔してたけど」フレッドが言った。
「俺たちが、二人をマクゴナガルの部屋に連れていくことになってる」ジョージが言った。
ロンとハーマイオニーはハリーを見つめた。ハリーは胃袋が落ち込むような気がした。マクゴナガル先生は、ロンとハーマイオニーを叱しかるのだろうか? どうやって課題をこなすかは、僕一人で考えなければならないのに、二人がどんなにたくさん手伝ってくれているかに気づいたのだろうか?
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