ダンブルドアは水みず際ぎわに屈かがみ込んで、水中人の長おさらしい、ひときわ荒々しく、恐ろしい顔つきの女の水中人と話し込んでいた。水中人は水から出ると悲ひ鳴めいのような声を発するが、ダンブルドアもいま、同じような音で話している。ダンブルドアはマーミッシュ語が話せたのだ。やっとダンブルドアが立ち上がり、審査員に向かってこう言った。
「どうやら、点数をつける前に、協きょう議ぎじゃ」
審査員が秘ひ密みつ会かい議ぎに入った。マダム・ポンフリーが、パーシーにがっちり捕まっているロンを救出に行った。ハリーやほかのみんながいるところにロンを連れてくると、マダム・ポンフリーはロンに毛布をかけ、「元げん気き爆ばく発はつ薬やく」を飲ませ、それからフラーと妹を迎えにいった。フラーは顔や腕が切り傷きずだらけで、ローブは破れていたが、まったく気にかけない様子で、マダム・ポンフリーがきれいにしようとしても断ことわった。
「ガブリエールの面倒を見て」フラーはそう言うと、ハリーのほうを見た。「あなた、妹を助けました」フラーは声を詰まらせた。「あの子があなたのいひとじちではなかったのに」
「うん」ハリーは女の子を三人全部、石像に縛しばられたまま残してくればよかったと、いま、心からそう思っていた。
フラーは身を屈かがめて、ハリーの両頬りょうほおに二回ずつキスした(ハリーは顔が燃えるかと思った。また耳から湯気が出てもおかしくないと思った)。それからフラーはロンに言った。
「それに、あなたもです――エヘルプしてくれました――」
「うん」ロンは何か期待しているように見えた。「ちょっとだけね――」
フラーはロンの上に屈み込んで、ロンにもキスした。ハーマイオニーはプンプン怒っている顔だ。しかしそのとき、ルード・バグマンの魔法で拡大された声がすぐそばで轟とどろき、みんなが飛び上がった。スタンドの観衆はしんとなった。