三人が話し込んでいる間に、スネイプが音もなく三人の机のところまで来ていたのだ。クラス中が三人を振り返って見ていた。マルフォイは、すかさず、「汚いぞ、ポッター」のバッジを点てん滅めつさせ、地ち下か牢ろうの向こうからハリーに見せつけた。
「ふむ……その上、机の下で雑誌を読んでいたな?」スネイプは「週しゅう刊かん魔ま女じょ」をさっと取り上げた。「グリフィンドール、もう十点減点……ふむ、しかし、なるほど……」
リータ・スキーターの記事に目を止め、スネイプの暗い目がギラギラ光った。
「ポッターは自分の記事を読むのに忙しいようだな……」
地下牢にスリザリン生の笑いが響ひびいた。スネイプの薄うすい唇くちびるが歪ゆがみ、不快な笑いが浮かんだ。ハリーが怒るのを尻しり目めに、スネイプは声を出して記事を読みはじめた。
「ハリー・ポッターの密ひそやかな胸の痛み……おう、おう、ポッター、こんどは何の病気かね? ほかの少年とは違う。そうかもしれない……」
ハリーは顔から火が出そうだった。スネイプは一文読むごとに間まを取って、スリザリン生がさんざん笑えるようにした。スネイプが読むと、十倍も酷ひどい記事に聞こえた。
「……ハリーの応おう援えん団だんとしては、次にはもっとふさわしい相手に心を捧ささげることを、願うばかりである。感動的ではないか」
スリザリン生の大爆笑が続く中、スネイプは雑誌を丸めながら鼻先で笑った。
「さて、三人を別々に座らせたほうがよさそうだ。もつれた恋愛関係より、魔法薬のほうに集中できるようにな。ウィーズリー、ここに残れ。ミス・グレンジャー、こっちへ。ミス・パーキンソンの横に。ポッター――我わが輩はいの机の前のテーブルへ。移動だ。さあ」